何があなたを一番幸せにするか・・・一番多くの時間を費やすものではなさそう

グローバル調査では、幸福の要因として挙げた29の項目の中でソーシャルメディアが最下位でした。

What makes you most happy? | Ipsos

ソーシャルメディアが多くの人にとってトップレベルの幸福の要因でないことは、驚くことではないかもしれません。おそらく、ソーシャルネットワークによる個人情報の利用に関するプライバシーについての懸念と、ソーシャルメディアが私たちの考え方や行動を変化させているという認識の結果でしょう。

しかし、イプソスが世界28ヶ国で20,000人を対象に実施した最新のグローバルアドバイザー調査 (Global Advisor survey) では、ソーシャルメディアは幸福の要因の選択肢としてあげた29項目の中で最下位です。

ソーシャルメディアを最大の幸福の要因として挙げたのは全体の11%にしか過ぎません。また中国以外の調査対象国全てで下位3要因に入っています。

ではなぜ私たちは、あまり幸せをもたらさないものに多くの時間を費やしているのでしょうか。

イプソスの行動科学センターVPで、行動科学者のGreg Gwiasdaは、ソーシャルメディアは幸福感を感じるための意識的な選択というよりも、むしろ習慣となっていると述べています。

「私たちがソーシャルメディアを使い始めたのは、何らかの恩恵があるからだった。人とつながり、朝食を食べるとき、昼食を食べるとき・・・など利用の瞬間が深く根付いた。今でもきっかけは残ってはいるが、恩恵はそれほど大きくはない。そのため習慣という枠を打ち破るのが非常に難しい。」

スクリーンタイムの超過について常に警告受けているときに、人々が幸福の要因として最も重要としたのは「健康」(55%)と「子供や配偶者やパートナーとの個人的関係」(48%)です。

「個人の身の安全」 (45%)、「意味ある生活を送ること」(47%)、「自分をコントロールすること」(44%)、「もっとお金を持つこと」(42%)などの項目はすべて、ソーシャルメディアに時間を費やすことよりも上位にきています。

ソーシャルメディアを最大の幸福の要因とする割合が最も少ない国々:

  • ロシア、セルビア (3%)
  • 日本 (4%)
  • イギリス、ハンガリー、カナダ (5%)
  • ベルギー、イタリア (6%)

トルコ(27%)、サウジアラビア(25%)、インド(22%)は、調査対象者の約4分の1がソーシャルメディアを利用することが最大の幸福の要因だと回答した数少ない国です。

意識と無意識

本レポートの著者であり、イプソス パブリックアフェアーズの米国シニアVPであるNicolas Boyonは、人々にソーシャルメディアに時間を費やすことについてどう思うかを尋ねることは、否定的な反応を引き起こす可能性がある、と述べています。

「人々はソーシャルメディア自体ではなく、それにどれだけの時間を費やしているかをすぐに考えるかもしれない。ソーシャルメディア上の交流や投稿は否定的に考えられることはないかもしれない。」

この意見を後押しするように、コンサルティング会社のThe Team W.のCEOであり行動科学者でもあるSusan Weinschenk氏は、調査結果が示しているのは“人間はソーシャルメディアを必ずしもコントロールしているわけではないが、ソーシャルメディアは人間をコントロールしている”ことを人々が認識していることだと述べています。

「人々はこれを良いとは思っていない。これはおそらくすべての情報を知りたいという事実に対して私たちが抱えている内部矛盾だ。私たちはある意味ではこれをわかっているが、別の意味ではそれを望んではいないことも理解すべきなのだ。ランキングは無意識に対して意識の部分を少し与えてくれると思う。」

ソーシャルメディアの影響力 が「進化」

ソーシャルメディアに費やしている時間は多すぎるという人々の認識にもかかわらず、プラットフォームが人々への影響力を失うことはないだろう、と専門家は述べています。むしろその影響力は進化しています。

前出のGwiasdaによると、1つのプラットフォームを使うことで恩恵が減少したり、不快な政治討論をフィードで読まなければならないなどのマイナス影響がある場合、そのプラットフォームを使う機会は減るだろうと言います。

「しかし、ソーシャルメディアを利用するきっかけや、つながりを維持したいという願望は残っている。したがって1つのプラットフォームとそれに伴う恩恵を別のプラットフォームに置き換える可能性が高い。」

Gwiasdaは「損失は利益よりも害になるという人間の行動の基本原理に立ち返っている。結果として、私たちは物事をあきらめたくないのだ。なぜなら、心理的苦痛は“私たちの心の中に大きく浮かび上がる”からだ」と付け加えました。

「私たちの時間は何か別のことに “合理的に” うまく費やされているかもしれないが、何かをあきらめているという認識が根本に残っている。」と彼は述べました。

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