世界が懸念していること - 2022年2月

世界の人々の懸念事項トップ5は変わらず、「コロナウイルス」がトップとなりました。しかし「インフレ」が6位にランクインし、世界のほぼ4人に1人(23%)が自国の懸念事項であると回答しています。

イプソスが月次で実施している「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」では、10年分のデータをもとに、世界28カ国の市民が、現在最も重要な社会問題や政治問題は何であるかと考えているのかを探っています。今ウェーブは、2022年1月21日~2月4日に実施されました。

主な調査結果

  • コロナウイルスは依然としてトップの懸念事項であり、平均33%が現在自国が直面している最大の問題の一つであると回答(2022年1月と比較して2ポイント減)。
  • 世界の調査対象国全体で「インフレ」が「医療」を抜いて6番目に心配な問題に。インフレに対する懸念が最も高まっているのはイギリス(12ポイント増で 31%)。
  • 現在、コロナウイルスを最も懸念している国は日本(10ポイント増で 56%)、次いで韓国(52%)、オーストラリア(50%)。
  • 世界の懸念事項の上位5つは同じ順位で、前月からの%の変動はほとんどない。コロナウイルス(33%)、貧困・社会的不平等(31%)、失業(29%)、金融・政治的腐敗(27%)、犯罪・暴力(26%)。
  • 平均63%が「自国の状況は間違った方向に進んでいる」と回答。
  • 同じ割合(63%)が、自国の経済は「やや」または「非常に」悪いと評価。

新型コロナウイルス (33%)

前回調査から2ポイント低下したものの、コロナウイルスは依然として世界最大の懸念事項であり、3人に1人が自国にとって心配な問題であると考えています。現在のこの33%は、昨年の同時期より大幅に減少しています(2021年2月は50%)。

コロナウイルスについて現在最も懸念しているのは日本で、前月比で10ポイント増加し、6カ国を抜いて1位となりました。この順位は、2021年1月以来です。

また、メキシコ(+8)、ロシア(+7)、インド(+6)は前月比で顕著に増加しています。一方、懸念が最も低下したのは、イギリス(-13)、オランダ(-11)、アルゼンチン(-10)でした。

今回の発表では、コロナウイルスが懸念事項の上位を占める国のグループから、ベルギー、フランス、オランダが脱落し、インドが再度入ってきています(上位全リストは オーストラリア、カナダ、ドイツ、イギリス、インド、日本、サウジアラビア、韓国、米国)。

貧困・社会的不平等 (31%)

貧困・社会的不平等を自国の最大の懸念事項とする人の割合は、世界の調査対象国全体で31%と1月と同じでした。最も懸念が大きいのはロシアで、半数以上(57%)が最大の懸念であると答えています。

次いで、ブラジル、ハンガリー、トルコで、それぞれ43%が貧困・社会的不平等を自国の重要な懸念事項であると答えています。

オランダは、前月比で10ポイント、12月比で合計18ポイント上昇し、懸念が大きく高まっています。

ロシア、ブラジル、そしてフランスでも、貧困・社会的不平等が懸念事項の第1位となっています。

失業・雇用 (29%)

第3位は、失業・雇用への不安です。現在は 29%と、12 ヶ月前の 37%から 8 ポイント減少です。

雇用に対する懸念が最も高い国は南アフリカで、64%と他国と大差をつけています。次いでイタリア(50%)、韓国(46%)、スペイン(同じく46%)と続き、コロンビア(45%)が僅差で続いています。

雇用に不安を感じていると答えた人の割合は、前回からトルコで7ポイント、メキシコとペルーでともに5ポイント上昇している。

南アフリカ、イタリア、スペイン、コロンビアでは、現在、失業・雇用が最重要課題となっています。

金融・政治的腐敗 (27%)

汚職に対する懸念が最も高いのは南アフリカで、57%が最重要課題であると回答しています。マレーシア(55%)とハンガリー(53%)も同様に高い懸念レベルを記録しました。ペルーは10ポイント低下して45%となり、コロンビアやロシア(44%)と同程度の数値となりました。

イギリスは、汚職に対する懸念が前月比で最も上昇(7ポイント増、25%)して過去最高を記録し、昨年の同時期より15ポイント上昇しました。

犯罪・暴力 (26%)

犯罪・暴力は、世界が懸念していること調査で5番目に大きな関心事となっています。全調査対象国で26%がこの問題を選んでいます(この割合は5ヶ月間変化なし)。

前月から7ポイント下がったものの、スウェーデン(59%)の懸念が最も高くなっています。メキシコ(54%)、ペルー(52%)、南アフリカ(51%)でも半数以上の市民が犯罪・暴力を今日の自国の最重要課題として選択しています。

最も上昇したのはベルギー(前月比+6)でした。一方、アルゼンチンとスペインではともに10ポイント低下しました。

注目の問題:インフレ

インフレに対する懸念は、世界的に過去最高水準にあります。先月から3ポイント上昇し23%となり、18項目の懸念事項の中で「医療」を抜いて6位となりました。12ヶ月前の平均スコアは9%で、13位でした。

インフレに対する懸念は、アルゼンチンとポーランドが最も高く(それぞれ56%)、次いでトルコ(51%)となっています。今月はイギリスが最も急激に上昇し(12ポイント増、31%)、フランス(9ポイント増、22%)がそれに続きます。

28カ国中23カ国で、インフレに対する懸念が増加しました。

正しい方向へ向かっているか?

調査対象28カ国の平均で、63%が自国の状況は間違った方向に進んでいると答え、37%が正しい方向に向かっていると答えています。

自国が間違った方向に進んでいると答えた人の割合が最も高かったのは、3ヶ月連続でペルーでした(86%)。この感情はコロンビアでも同様のレベルに達しています(84%)。このほか、南アフリカ、ポーランド、アルゼンチンを含め、今月最も暗い5カ国となりました。

経済への注目

現在の自国の経済状況を「とても」「やや」良いと答えた人は、全調査対象国平均で37%、一方「とても」「やや」悪いと答えた人は63%と過半数を占めました。

経済状況に最も満足している国は依然としてサウジアラビア(93%)、次いでインド(78%、前月比6ポイント増)、スウェーデン(67%)の順となりました。

マレーシアとスペインでは、前向きな経済見通しを示しており、それぞれ先月から4ポイントアップの43%、28%となっています。

アルゼンチンでは、景気が良いと考える人は11%にとどまり、先月と変わらず28カ国のランキングの最下位に位置しています。

カナダ(6ポイント減)、チリ(同じく6ポイント減)、フランス(5ポイント減)で、「景気が良い」という認識が先月から最も低下しています。

Ipsosの「世界が懸念していること What Worries the World調査」は、Ipsos Online Panelシステムを通じて世界28カ国で実施されています。調査対象国は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、フランス、英国、ドイツ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ペルー、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、米国です。
2022年1月21日~2月4日に、米国、南アフリカ、トルコ、イスラエル、カナダでは18~74歳、その他の国では16~74歳の成人を対象に、19,022件のオンラインインタビューを実施しました。データは人口のプロファイルに合わせて加重しています。

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