世界が懸念していること:コロナによって展望はどう変わったのか?

パンデミックの間のトラッキング調査には、ローカルの視点が反映されています。

世界が懸念していること What Worries the World の2021年8月調査の結果では、パンデミック下の世界の不安定な環境が浮き彫りになり、新型コロナウイルスの懸念のスコアが月ごとに大きく変化しました。

ここでは、状況がどのように変化しているかを詳しく見て、イプソスの専門家に最新の結果について現地での状況を聞いてみました。

現在の状況は?

世界的に見ても、新型コロナウイルスは依然として最大の懸念事項であり、世界各国の平均値によると、37%の人が自国が現在直面している最も心配な問題のトップ3に数えています。 今でも懸念事項の上位にあるかもしれませんが、2020年4月に見られた61%というピークには及びません。

調査対象となった28カ国のうち、マレーシア(83%)、日本(63%)、韓国(58%)の3カ国で懸念度が高いことがわかりました。下記のトップ10をご覧ください。

全ランキングはグローバルサマリーレポートでご覧いただけます

マレーシア

マレーシアは、11ヶ月連続でコロナウイルスに対する国民の懸念が最も高かった国であり、2021年8月にも83%という高い数値を記録しています。マレーシアのイプソス パブリックアフェアーズのLars Erik Lieは次のように見ています。

マレーシアのコロナに対する懸念は、「世界が懸念していること調査」でコロナの調査を開始して以来、パンデミックがかなり抑えられていた時期でも、他の国に比べて相対的に高い数値を示している。これはデータだけでは説明しにくい。

現在の増加傾向は、現地の状況を反映しているとLarsは言います。ウイルスの初期の波をうまくかわした後、5月以降は感染率が非常に高くなり、国内は完全に閉鎖されたロックダウンの状態に近いです。また、今回の波はより深刻で、かつてないほど多くの患者がICUに収容され、多数の死亡者が出ています。コロナは、この数ヶ月間、ニュースのサイクルをほぼ完全に支配し、誰もが気していました。

なぜマレーシアの懸念は他の国に比べて高いのかという疑問に戻ると、マレーシアの人々は、貧困、医療へのアクセス、気候変動などの長期的な社会問題よりも、自分たちにとって身近な脅威(犯罪や暴力への懸念に似ている)に関心を持つ傾向があるため、「文化的な要因」があるのではないかと考えています。

韓国

韓国では今月、2021年に入ってからコロナウイルスに対する懸念が最も高く、10人中6人が現在の問題のトップ3に挙げています。イプソス韓国でパブリックアフェアーズの責任者を務めるChanbok Leeは、7月から急激に増加した感染者数が、2021年6月の48%から8月の59%へと11ポイントも上昇したことに反映されていると言います。「世界が懸念していること調査」のデータは、韓国の人々がこの状況をどれだけ深刻に受け止めているかを反映しています。

ほとんどの韓国人は、2020年に入ってからの政府のコロナ対策をずっと遵守している。ここ韓国では、2020年5月以降、公共の場でマスクをしていない人を一人も見たことがない。

オーストラリア

オーストラリアでは、2021年8月に58%がコロナが最重要課題であると回答しており、約1年ぶりに最高レベルの懸念を示しています。

イプソス オーストラリア・ニュージーランドのパブリックアフェアーズ担当副社長のDavid Elliotは、オーストラリアでコロナウイルスに対する関心が高まっていることは驚くべきことではなく、デルタ株による感染者数の急増を明確に反映していると語っています。2021年5月、オーストラリアではデルタ株がシドニーに侵入し、その結果、現在も続くシドニー圏のロックダウンが発生しました。症例数が急増し、国内の他の地域にも広がっています。メルボルン圏とビクトリア州の一部では、1年を通してロックダウンが行われており、メルボルンでは8月5日に6回目のロックダウンが始まりました。

この数ヶ月を振り返って、Davidはこう語ります。

パンデミックが始まって以来、オーストラリアは「The Lucky Country(幸運な国)」という呼び名にふさわしく、
多くのオーストラリア人にとって、症例数の少なさはリスクの低さを意味し、ワクチン接種の緊急性がないことを意味していた。
2021年に入ってからは、今にして思えば、楽観的になりすぎていた。しかし今、オーストラリアは世界で起きている騒乱を避けることができたという考えから、これは現実であり逃れることはできないという意識に急速に変わってきた。

米国

コロナウイルスは、米国では再び国民にとって最も心配な問題となっています。今年の1月から7月にかけて、コロナウイルスに対するアメリカ人の懸念は着実に減少していましたが、今月に入って再び上昇に転じました。現在、アメリカ人の40%がコロナを自国の最重要課題としており、先月より15ポイント上昇しています。 

この結果について、イプソス米国の世論調査・パブリックアフェアーズ担当シニアバイスプレジデント、Chris Jacksonは次のように述べています。

今年の前半は、ワクチン接種の取り組みやコロナの症例数の減少により、アメリカ人がパンデミックに対して楽観的になった。それによりコロナに関する懸念が薄れ、国が正しい方向に向かっているという意識が高まった。

今年の夏、デルタ株の感染が拡大するにつれ、コロナウイルスはアメリカ人の最大の懸念として再浮上しました。その結果、人々の行動が変化し、 Axios/Ipsos Coronavirus Index では、アメリカ人は家の外で活動することが少なくなったという結果が出ています。

米国では、コロナが問題にならないときは、国が分裂していることを反映して、問題が分断されます。春になってコロナウイルスが悩みの種から外れた後は、犯罪や医療などの他の恒常的な問題がアメリカ人にとっての重要性を増していきました。このような問題は、一方の政党が問題だと感じ、他方の政党が問題だと感じないという政治的な傾きがあるため、多数の支持を集めることはありません。コロナウイルスが主要な問題から後退したとき、このようなダイナミクスも再び現れるでしょう。

今後の展望

これまで見てきたように、パンデミックからの脱却という意識は、国民の感情や将来に対する楽観的な見方に影響を与える要因のひとつです。

世界平均では、64%が自国の状況は間違った方向に進んでいると答え、36%が正しい方向に向かっていると考えています。

これは、年初(62% vs 38%)や1年前(57% vs 43%)に比べて、やや悲観的な見方をしています。

ワクチン接種数に集中し、制限を緩和して最終的にロックダウンを解除する目的を達成すると、楽観度が上昇し、以前のレベルに戻ることを私は期待しています。 しかし、ワクチン接種率の低迷やワクチンによる保護に綻びが見られると楽観的な見方ができなくなります。

David Elliott, パブリックアフェアーズ担当副社長
イプソス オーストラリア・ニュージーランド

2021年8月 世界が懸念していること調査 What Worries the World  で詳細をご覧ください。今後の展開に関する分析やトラッキング調査しているほかの項目についてもご覧いただけます。

社会