世界が懸念していることー2018年5月

グローバル調査を行ったところ、世界の懸念事項のトップは「金融・政治の腐敗」、「失業」、「貧困・社会の不平等」、「犯罪・暴力」であることが明らかになりました。

世界の懸念事項(What Worries the World)調査によると、調査対象国28か国の過半数の人々(平均58%)が、「自国は間違った方向に進んでいる」と感じており、中でもイタリア(86%)、メキシコ(85%)、ブラジル(83%)、スペイン(80%)においては、懸念度が顕著に高いという結果が出ています。

世界の懸念事項(What Worries the World)調査 は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、フランス、イギリス、ドイツ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、ポーランド、ペルー、ロシア、サウジアラビア、セルビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、アメリカ合衆国の65歳未満の成人を対象に毎月行っているオンライン調査です。

この調査によって、28か国の過半数の人が、「自国は、間違った方向に進んでいる(平均58%)」と考えていることが明らかになりました。しかし調査対象国全体を見ると、そのスコアは各国で大きく異なっています。

正しい方向

  • 「自国が向かっている方向」について最も自信があった国は、今回も中国(92%)です。第2位は、引き続きサウジアラビア(76%)、第3位は韓国(74%)で、インド(60%)を上まわっています。
  • ポーランドのスコアは今月上昇し、自国の向かう方向についての楽観度は11ポイント上昇、44%です。これは、同国が2017年10月に45%を記録して以来最高のスコアです。ポーランドに次いで上昇幅が大きかった国は韓国で、前月から9ポイント上昇、74%です。韓国は今回の上昇によって、前年同期(40%)比で34ポイントの上昇を記録したことになります。また、2017年1月からは62ポイント上昇です。

間違った方向

  • 対照的に、イタリア、メキシコ、ブラジル、スペインの国民は、「自国が向かっている方向」について、最も大きな懸念を示しています。中でも、「自国は、正しい方向に進んでいる」と考えるイタリア人の割合はたったの14%でした。次いでメキシコ(15%)、ブラジル(17%)、スペイン(20%)が続きます。
  • アルゼンチンでは、同国が現在抱えている金融面の懸念から生じた影響が垣間見えます。アルゼンチン中央銀行は5月初旬、政策金利を40%に引き上げました。また、このような中、国際通貨基金(IMF)から融資枠も取り付けています。アルゼンチンにおける悲観傾向は、この4か月で最も高くなっています。アルゼンチン国民の64%が「間違った方向に進んでいる」という考えに賛同、前月から14ポイント上昇しています。イタリア(86%)も悲観傾向に大きく振れ「間違った方向に進んでいる」への賛同は前月よりも10ポイント上昇しています。
  • 国の楽観度においては、アルゼンチンとイタリアに次いで、南アフリカが大幅に下降、「自国は正しい方向に向かっている」と考える人の割合は、たったの33%となりました。ラマポーザ氏のANC(アフリカ民族会議)党首就任を受け、最高値を記録した3月(52%)から19%減となります。
  • 日本では60%が「自国は間違った方向に進んでいる」に賛同、前月から1ポイント上昇しています。

世界の人々の5大懸念事項

  1. 金融・政治の腐敗(35%)―この項目について最も大きな懸念を示した国は、マレーシアとペルー(62%)で、次いで懸念度か高かったのは南アフリカ(60%)でした。前月比で、この懸念に対する数値の上昇幅が最も大きかったのはトルコ(33%)で、4月から10ポイント上昇です。また、懸念度が最も低かった2か国は、2017年7月以来、この位置をキープしているスウェーデン(7%)とドイツ(10%)です。両国に次いで懸念度が低かった国は、イギリス(13%)です。
  2. 失業(34%)―この項目に対する懸念度が最も高かった国は、イタリア(68%)、韓国(62%)、スペイン(62%)です。 また、前月からの上昇幅が最も大きかった国はマレーシアで、10ポイント上昇です。失業に対する懸念度が最も低い国はイスラエル(11%)で、これまで7か月間連続、この項目で「懸念度が最も低い国」となっていたドイツ(12%)に取って代わりました。
  3. 貧困・社会の不平等(33%)―この項目で最も懸念度か高かった国はロシアとセルビア(それぞれ56%)で、後続には、ハンガリー(49%)とドイツ(47%)が来ています。懸念度が最も低かったのはサウジアラビアとアメリカ(それぞれ20%)です。中でもアメリカは、2017年を通じて、そして2018年の現在に至るまで「最も懸念度の低い国」となっています。
  4. 犯罪・暴力(32%)―この項目に対する懸念度が最も高かった国はペルー(67%)とメキシコ(65%)で、両国に続いたのは、南アフリカ(58%)、チリ(57%)です。犯罪に対する懸念が最も低かった国はサウジアラビア(8%)とロシア(10%)でした。.
  5. ヘルスケア(24%).

本調査はイプソスオンラインパネルを使用し、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、地理、中国、フランス、イギリス、ドイツ、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、セルビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、アメリカの世界28カ国で実施されたものです。チリは今月調査より参加しました。

4月20日~5月4日に、アメリカ、イスラエル、カナダでは18歳~64歳、その他の国では16歳~64歳を対象として、21,268件のアンケートを実施しました。データは各国人口構成に基づき加重されています。

調査結果のレポート(グローバル版、日本版、いずれも英語のみ)はこちらからダウンロードできます。

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