世界が懸念していること - 2022年11月

インフレは8ヶ月連続で世界最大の懸念事項であり、42%が懸念しています。

生活費に対する懸念は依然として世界的に大きいものの、16ヶ月ぶりに悪化にはいたりませんでしたが、依然として10人に4人(42%)が不安を感じていることがわかりました。

イプソスが毎月実施している「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」では、10年分のデータをもとに、一般の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査し、最新のスコアとその背景を探ります。今ウェーブは、2022年10月21日~11月4日に実施されました。

主な調査結果 

  • インフレは8ヶ月連続で世界の懸念事項の第1位となり、42%が現在自国が直面している最大の懸念事項のひとつと回答(2022年10月から変化なし)。
  • アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、英国、オランダ、ポーランド、サウジアラビア、韓国、米国、トルコの13カ国は、インフレを最大の懸念事項として挙げている。
  • ポーランドのインフレに対する懸念(65%)は、10月のピークから低下し、5ポイントの減少となった。
  • すべての国において、インフレへの懸念に続いて、貧困/社会的不平等(31%)、失業(27%)、犯罪と暴力(27%)、金融/政治腐敗(25%)が世界の懸念事項の上位5位を占めている。
  • 気候変動は、世界平均で 17%が懸念しており、18の懸念事項の中で税金に関する懸念と並び第7 位である。
  • 新型コロナウイルスに対する懸念は、2020年4月に項目として追加されて以来最低水準を維持している。今月、新型コロナウイルスを懸念事項として挙げた人は10人に1人(10%)にとどまり、今年1月から25ポイント減少した。
  • わずか9カ月前の2月には、世界の懸念事項のトップであったにもかかわらず、パンデミックは、国家間の軍事衝突と同率12位となっている。
  • 3人に2人(64%)が自国は間違った方向に向かっていると考えており、ペルーでは88%、アルゼンチンでは90%に上っている。

インフレ

インフレは世界最大の懸念事項であり、10人に4人以上(42%)が自国に影響を及ぼす最大の懸念事項の1つとして挙げています。しかし今月は10月から変化がなく、横ばいになっています。これは、1年半ぶりに前月比での上昇がなかったことになります。インフレは、過去8ヶ月間、18の懸念事項の中でトップとなっています。

物価上昇への懸念は、20%が問題視していた今年の初めから2倍以上になっています。昨年の今頃はインフレを懸念している人は18%しかおらず、1年半前の2021年4月にはその数字はわずか10%でした。8カ国では、2人に1人以上がインフレを懸念しており、アルゼンチンでは3分の2以上(68%)に上ります。先月はポーランドがトップでしたが、5ポイント低下し、現在は65%で2位となっています。

過去2ヶ月間の英国(今回の調査では54%が懸念)の動向は、10月に13ポイント低下した後、今月は11ポイント上昇し、回復傾向にあります。10月は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、英国、オランダ、ポーランド、サウジアラビア、韓国、米国、トルコの13カ国でインフレが最大の懸念事項となっています。

気候変動

16%が気候変動は自国に影響を与える最重要課題の1つであると回答し、1 ポイント下がって第7 位の税金に関する懸念と同レベルとなりました。

ドイツは31%でオーストラリア、フランスと並んで1位となりました。これは、ドイツの数値が若干低下(-2ポイント)し、オーストラリア(+4ポイント)とフランス(+4ポイント)が上昇したためです。

フランスとオーストラリアでは、インフレに次いで2番目に高い懸念事項となっています。ドイツでは、貧困、インフレに次いで3番目に高い懸念事項となっています。

カナダは9月から10月にかけて上昇しましたが、11月には4ポイント低下し、25%となっています。オランダは先月から横ばいの28%となっています。

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスは、2020年4月に18の懸念事項のリストに追加されて以来最も低い水準にあります。10人に1人(10%)が自国に影響を及ぼす課題として挙げ、10月と同レベルになっています。

日本(28%)は依然として最も懸念しており、わずか1ポイントの減少で3番目に大きな問題になっています。タイ(14%)は4ポイント低下し、減少が続いています。オーストラリア(11%)も3ポイント減とやや減少しています。

サウジアラビア(26%)は、10 月から 12 ポイント上昇し、今年 6 月以来の高水準となり、現在第 2 位です。サウジアラビアでは気候変動よりも新型コロナウイルスの方がより問題視されています。スウェーデン(8%)は、10月に過去最低を記録した後、5ポイント上昇しました。

国家間の軍事衝突

国家間の軍事衝突(10%)は、前月と変わらず18の懸念事項の中で11位となっています。懸念は世界的に1ポイント減少していますが、新型コロナウイルスに対する懸念を上回っています。

ポーランドとドイツはこの問題が調査対象に加わった2022年4月以来、依然として最も懸念の多い国です。ポーランドは 2ポイント 上昇したのに対し、ドイツは1ポイント減少しています。ポーランドでは、インフレに次いで2番目に大きな懸念事項となっていますが、2022年4月と比較すると5ポイント低下しています。スペインは10月から6ポイント上昇し18%となりました。

経済への注目

グローバルの平均では、自国の現在の経済状況を「良い」と回答したのは32%で、先月から変化はありません。

サウジアラビア(94%)、インド(77%)、インドネシア(59%)では、2人に1人以上が自国についてこのように回答しています。また、先月から最もスコアを伸ばした国はインドネシアで(+7ポイント)、次いでドイツ(+6ポイント)となっています。

一方、英国は2桁の減少(-14ポイント)で、8ランクダウンして下位5カ国となり、ヨーロッパで最も低いスコアとなりました。アルゼンチンは今月さらに3ポイント減少し、再びランキングの最下位となりました(6%)。


本調査について 

イプソスの「世界が懸念していること What Worries the World調査」は、10年を超えるデータをもとに、世界29カ国の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査し、最新のスコアとその背景を探ります。

この調査は、2022年10月21日~2022年11月4日に、カナダ、イスラエル、マレーシア、南アフリカ、トルコ、米国の18~74歳、インドネシア、タイの20~74歳、その他21カ国では16~74歳の成人を対象に、20,466人のオンライン調査を実施しました。

ダウンロード

社会