世界が懸念していること - 2022年9月
世界の10人に4人(40%)が、インフレは自国に影響を与える最大の懸念事項のひとつであると回答しており、年初の懸念レベルの2倍に達しています。物価の上昇は、「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」の懸念事項のトップであり、懸念のレベルは14ヶ月連続で上昇しています。
イプソスが毎月実施している「世界が懸念していること調査(What Worries the World)」では、10年分のデータをもとに、世界29カ国の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査し、最新のスコアとその背景を探ります。今ウェーブは、2022年8月26日~9月9日に実施されました。
主な調査結果
- インフレは6ヶ月連続で世界の懸念事項の第1位となり、40%が現在自国が直面している最大の懸念事項のひとつと回答(2022年8月比1ポイント増)。12カ国がインフレを最大の懸念事項として挙げている。
- インフレへの懸念に続き、貧困/社会的不平等(31%)、金融/政治腐敗(26%)、失業(26%)、犯罪と暴力(26%)が世界の懸念事項の上位5位を占めている。
- 気候変動は、世界平均で 18%が懸念しており、7 位にとどまっている(+1)。
- 8人に1人(12%)が新型コロナウイルスを懸念事項に挙げ、2020年に新たに項目として追加されて以来、今月は最も低い月となった。
- フランスは現在、気候変動に対し最も懸念を抱く国であり、3分の1以上(34%)が気候変動を問題視している。
- 3人に2人(64%)が自国は間違った方向に向かっていると考えており、アルゼンチンとペルーでは90%に上った。
インフレ
インフレは世界最大の懸念事項であり、10人に4人(40%)が自国に最も影響を与える課題の1つとして挙げています。9月は1ポイント上昇し、インフレ率は14ヶ月連続で上昇しています。
物価上昇への懸念は、20%が問題視していた今年の初めから倍増しています。昨年の今頃は、インフレを懸念している人は14%にすぎませんでした。現在7カ国で、2人に1人以上がインフレを懸念しており、アルゼンチンとポーランドでは3分の2に達しています。
今月、インフレの懸念が最も上昇した国は、英国(+12)、ドイツ(+10)でした。9月は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、ハンガリー、ポーランド、韓国、米国、トルコの12カ国で、インフレが最大の懸念事項となっています。
気候変動
ほぼ5人に1人(18%)が、気候変動は自国に影響を与える最重要課題の1つであると回答し、先月より1ポイント上昇しました。
フランスは現在、気候変動に対して最も懸念を抱いている国であり、3分の1以上(34%)が気候変動を懸念事項として挙げています。先月、フランスは気候変動に関して過去最高のスコアを記録し、9月もスコアを伸ばしました。8月に比べ2ポイント、7月に比べ12ポイント上昇しました。フランスでは、気候変動よりも懸念の数値が高いのはインフレ(39%)だけです。34%という数値は、2022年の気候変動に対する懸念ではどの国を含めても最も高い数値です。オーストラリア、ドイツ以外の国が気候変動への懸念でトップに立つのは、2021年10月以来となります。
オランダは、気候変動に対する懸念が今月3ポイント上昇し、第3位となりました。
新型コロナウイルス
世界の8人に1人(12%)が、新型コロナウイルスは自国に影響を与える最大の懸念事項であると感じており、2020年にこのパンデミックが選択肢に追加されて以来、最も低い数値となりました。
9月は新型コロナウイルスに対する懸念が4ポイント減少し、世界全体の数値は2022年5月と同じレベルになりました。新型コロナウイルスに対する懸念レベルは、年初から23ポイント低下しています。日本は、新型コロナウイルスに対する懸念が10ポイント減少したものの、調査対象国中唯一トップの国で、10人に4人(40%)が懸念事項として選択し、パンデミックについて最も懸念している国であることに変わりはありません。
英国、フランスは、新型コロナウイルスに対する懸念のスコアが過去最低(ともに7%)を記録しました。英国の数値は、8月に比べて8ポイント減少、1月に比べて40ポイント減少しました。フランスは前月比6ポイント、2022年に入ってからは28ポイントの減少です。
犯罪と暴力
世界の4人に1人(26%)が、犯罪と暴力を自国の最大の懸念事項の1つとして挙げており、先月の数値から変化はありません。
5カ国で、2人に1人以上が問題視しています。チリは依然として最も関心が高く、61%が最重要課題と考えています。これは8月に比べて4ポイント低下していますが、2021年9月よりは20ポイント高くなっています。
第2位はペルーで、53%が懸念事項として挙げています。これは前月比3%増、昨年9月比27%増となりました。
前月比で最も減少したのは、スウェーデンとメキシコ(共に-7)です。スウェーデンの数値は昨年の同時期と比較して16ポイント低下しており、メキシコの懸念レベルは2ポイント上昇しています。
経済への注目
グローバルの平均では、自国の経済状況に対する国民の認識は先月と変わらず、33%が「良い」、67%が「悪い」と回答しました。
過半数が自国の現在の経済状況を「良い」と回答したのは、サウジアラビア(95%)、インド(79%)、インドネシア(64%)の3ヵ国です。
前月比で評価が大きく上昇したのは、メキシコ(+8)、ハンガリー(+7)、そしてコロンビアと南アフリカ(ともに+6)でした。
一方、前月から最も減少したのはオランダで、7ポイント減少しました。次いで、英国(-6)、スペイン(-5)となっています。
ドイツは45%が現在の経済状況を「良い」と回答し、依然として上位を維持しているものの、2010年6月以降で最も低いスコアを記録しました。
本調査について
イプソスの「世界が懸念していること What Worries the World調査」は、10年を超えるデータをもとに、世界29カ国の市民が現在最も重要な社会問題や政治問題は何であると考えているのかを調査し、最新のスコアとその背景を探ります。
2022年8月26日~2022年9月9日に、カナダ、イスラエル、マレーシア、南アフリカ、トルコ、米国の18~74歳、インドネシア、タイの20~74歳、その他21カ国では16~74歳の成人を対象に、19,524人のオンラインインタビューを実施しました。