世界メンタルヘルスデ― 2022:世界の4人に3人が「心と体の健康は等しく重要」と回答

世界の健康問題のうち、メンタルヘルスががんを抜いて第2位に浮上しました。

イプソスが毎年行っている「世界メンタルヘルスデー調査」は、一般の人々のメンタルヘルスに関する認識や経験を調査するために実施しています。調査項目は、身体的な健康との関係、メンタルヘルスに関する問題の捉え方、医療サービスによる治療方法などです。この調査は、イプソスのグローバルアドバイザーオンライン調査プラットフォームGlobal Advisor online platform で、2022年7月22日~8月5日にかけて、34カ国で実施されました。

主な調査結果

  • 健康上の最大の懸念事項を尋ねたところ、メンタルヘルス(世界各国平均で36%が言及)が初めてがん(34%)より上位となった。
  • 半数以上(58%)が、自分自身の心の健康について「よく考える」と回答。
  • 平均で76%が、心の健康と体の健康は等しく重要であると回答。しかし、自国の医療サービスがそれらを同等に扱っていると答えたのは、わずか33%に過ぎない。
  • 41%が、医療サービスでは心の健康よりも体の健康の方が優先されると答え、心の健康の方が注目されていると答えた人の割合(12%)の3倍以上になっている。
  • 一般的に、メンタルヘルスの問題は、35歳以下、女性、低所得者層でより強く感じられると言われている。

心と体の健康について考える

世界平均では、調査対象者の58%が自分の心の健康について「とても」または「まあまあ」頻繁に考えており、これは2021年と比較して5ポイント高くなっています。一方、体の健康については、平均で12ポイント高い70%となっています。

自分の心の健康について「よく考える」割合は、国によって多少の違いがあり、トップはポルトガル(82%)、次いでブラジル(76%)、南アフリカ(75%)で、最も低いのは中国の33%です。

人口統計的分析によると、自分の心の健康について「とてもよく考える」人が最も多いのは、35歳未満(31% vs. 50歳以上16%)、女性(27% vs. 男性21%)であることがわかりました。このパターンは、体の健康についても見られます。

Mental vs Physical Health – Which Takes Priority?

心と体の健康の重要性は国境を越えて認識されているようで、グローバルの平均では、ほぼ10人に8人が両者を同等と評価しています(76%)。調査対象の34カ国のうち、30カ国では10人中7人以上が心と体の健康は同じくらい重要であると答えています。例外はタイ(66%)、サウジアラビア(54%)、インド(49%)、UAE(48%)の4カ国だけですが、そのうち2カ国は半数以上がそう回答しています。しかし、サウジアラビア、インド、UAEは、体の健康よりも心の健康が重要であると答えた人の割合が最も高い国々となっています。

医療サービス 認知度 vs. 経験度

つまり、心と体の健康は等しく重要であると人々は考えているのです。しかし、医療制度はこの考えを反映し、同等の扱いをしているのでしょうか?世界平均では、3分の1(33%)がどちらも同等に扱われていると考えています。メンタルヘルスがより優先されていると考える人は平均でわずか12%で、41%が体の健康に重点を置いていると答えているのと対照的です。

最もバランスが悪いと感じるのはポルトガル(73%が体の健康が心の健康より重視されると回答)、次いでスウェーデンでほぼ5分の3(58%)となっています。心の健康が体の健康よりも重要視されているという認識が最も高い国は、心の健康が体の健康よりも優先されるべきだとする割合が最も高い国でもあります。インド(27%)、サウジアラビア(25%)、UAE(24%)です。

この1年の経験

日常生活へのストレスの影響は、世界的に最も多く報告されているメンタルヘルスの問題であり、63%が、過去1年間に日常生活に影響を及ぼすほどのストレスを(少なくとも1度は)感じたことがあると回答しています。また、59%がストレスによって物事に対処できないと感じ、39%が仕事に行けないと感じたことが少なくとも1回はある、と回答しています。4分の1は、過去1年間に自殺や自傷行為を一度は考えたと答えています。

これらの問題は、35歳以下、女性、未婚者、低所得者層で最も顕著です。

World health day | Ipsos

 

詳細については、レポートをダウンロード(英語)してご覧くださいください。 


本調査について

これらは、イプソスがグローバルアドバイザー Global Advisor のオンライン調査プラットフォームで実施した世界34カ国の調査結果です。2022年7月22日(金)~8月5日(金)にかけて、米国、カナダ、マレーシア、南アフリカ、トルコの18歳~74歳、タイでは20歳~74歳、インドネシアでは21歳~74歳、その他の27市場では16歳~74歳の合計23,507人の成人を対象に調査を実施しました。

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