自由貿易は自国の経済に利益をもたらすか

イプソスが実施した24カ国調査で自由貿易は自国の経済に利益をもたらすと考えている人々が増加(84%、前回調査比7%増)していることがわかりました。カナダ(89%)、米国(87%)では特に顕著な結果となりました。

Halifax Security Forumで発表された第8回目となるイプソス年次グローバル調査(世界24カ国で実施)の結果で、「自由貿易は自国経済に利益をもたらす」と考えている人々が堅実に増加(2016年調査から7%増)していることがわかりました。これは北米自由貿易協定(NAFTA)交渉に参加する3カ国の国民を含みます。自由貿易が自国経済にもたらす利益について「利益をもたらす」と回答したのはメキシコで93%(2016年調査比6%増)、カナダ89%(同6%増)、米国87%(同7%増)でした。

自由貿易が地域経済に「利益をもたらす」という意見に賛同が少なかったのはフランス(64%、16%増)です。また、EU離脱の投票では自由貿易に厳しい目を向けていたと思われるイギリスでは、ほとんどの回答者(93%、3%増)が自由貿易はイギリス経済を救うと回答しました。

 

その他の調査結果:

  • 80%は「世界ではより危険性が増している」に賛同。2016年調査比では4%減
  • 「世界はより良くなっている」に賛同したのは51%のみ。最多は中国の84%
  • 最大の脅威は「詐欺や不正行為目的のハッキング被害」(74%)、次いで「テロ」(72%)、「核兵器や化学兵器による攻撃」(71%、4%増)
  • 「核兵器を持つ国は増加しているが、核戦争の可能性増加していない」という意見に賛同した割合が最も低かったのは日本(28%)。調査対象国全体では約半数(49%)が賛同
  • 「自国の経済が困難な状況なので、国際関係よりも自国に目を向けるべきだ」という意見に賛成したのは71%。前年比2%減で、国際関係には若干前向きな姿勢が見られる。ヨーロッパではより顕著で、イタリア(13%減)、ポーランド(10%減)
  • 国際的影響力において最も「良い影響を与える」と期待されているのはカナダ(82%)。次いでドイツ(75%)、フランス(75%)、国連(72%)。昨年調査からの変化が大きかったのは、米国(55%、9%減)で中国(58%、3%増)に抜かれた
  • 「経済力は軍事力よりも国際関係にとって重要」という意見には調査対象国全体の76%が賛同
  • 「ある一定の条件下では、戦争は正義のために必要」という意見には全体の44%が賛同。トップは中国(72%)、日本(24%)は最も低かった
  • 「世界各国は気候変動を防ぐために適切な対応をしている」という意見には、全体の半数(50%)の賛同に止まった。最も楽観的なのは中国(86%)、次いでインド(77%)。一方で最も悲観的なのはスペイン(30%)、次いで日本(32%)
このオンライン調査は2017年9月22日~10月6日、イプソスオンラインパネルシステムを利用して18,594人を対象に実施されました。調査実施国は、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、フランス、英国、ドイツ、ハンガリー、インド、イタリア、日本、メキシコ、ペルー、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、米国です。米国、カナダでは18~64歳、その他は16~64歳が対象です。

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