Ipsos Views:第11回 国家ブランド3位の日本が乗り越えるべき壁とは?

イプソス コーポレートレピュテーション部門のリーダー、和田潤子による新連載ブログです。 今回のテーマは、「国家ブランド3位の日本が乗り越えるべき壁とは?」 です。

著者

  • 和田 潤子
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世界の新型コロナによる死者数が600万人を超える中、日本は犠牲者を他国より1/100~1/10に押さえる努力を続けています。一方で、欧米諸国を初め、市場をオープンし景気沸騰、物価も上昇するが賃金も上がる国に、日本は経済成長率で大幅な遅れを取っています。

旅行者の入国制限を緩和や完全撤廃する国さえある中、日本は変わらず厳しい検疫制度を続け、旅行者数も大幅に制限したままです。経済に明るいニュースは乏しくコスト高に起因する物価高がじわじわと進んでいます。

注意深く完全にロックダウンすることもなく、今なお完全にオープンすることもなく安全走行を続ける日本は、国際的にどう評価されているのでしょうか。

直近の国家ブランドインデックスでは、日本は前年の4位から1つ上げて3位に入りました。1位は5年連続ドイツ、2位は昨年から1つ上げてカナダが入りました。

Ipsos Views:第11回 国家ブランド3位の日本が乗り越えるべき壁とは?

https://www.ipsos.com/ja-jp/nation-brands-index-2021


ドイツとカナダが上位2位に着けた共通の理由は、「移民」と「ガバナンス」です。日本が1位のドイツと共通して強いのは、「輸出品」と「文化」のみ。日本はトップ2が持つ「移民」と「ガバナンス」という強みを持っていないのです。

コロナ対策でいつまでも検疫を強化し海外への門戸を閉ざす安全第一主義は、日本の閉鎖的な移民政策に表れています。日本は2018年に移民政策を採らないことを表明しました。外国人労働者は積極的に受け入れますが、彼らは一定期間滞在を認められるだけで転職の自由などは与えられず、欧米などで与えられる永住権や定住許可という制度はありません。

難民認定はさらに条件が厳しく、2021年に受け入れた難民は74人で、認定率は僅か0.7%でした。難民の定義が日本は非常に狭義で、弁護士や研究者からも国際的には通用しないと指摘されています。(https://www.refugee.or.jp/refugee/japan_recog/)

ガバナンスは、環境への取組みが国際社会から遅れを取っていることが原因で、日本の最大の弱みとなっています。

一言で言うと、日本の安全走行は自国の守備が固いとは言えるかもしれませんが、他国と協調し国際社会を良くする点で競争力がなく、国家のブランド力上位への障壁になっていると言えそうです。

ゴルバチョフ旧ソ連共産党書記長が「日本は世界で一番成功した社会主義国だ」と言って日本の社会主義的平等の精神を称賛しましたが、自国の安定のみを優先すると国際社会においてはSDGSに逆行し、国家ブランドランキングで最上位を取れないばかりか、国際社会における発言力も失う可能性があると危惧します。


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著者

  • 和田 潤子

社会