感染症の流行への懸念 (78%) がハッキング (74%) を上回る:グローバル市民の脅威認識
28カ国で行われたイプソスの最近の調査によると、より多くのグローバル市民が現在、今後12ヶ月間の最大の脅威として感染症の流行(78%、前年比+27ポイント)を認識しており、この数年間トップであった詐欺やスパイ目的でのハッキング(74%、-1)を上回っていることが明らかになりました。
ハリファクス国際安全保障フォーラムのためだけに行われたこの調査は11年目を迎えました。8つの脅威シナリオと、それぞれの脅威が今後12カ月間に発生する現実性が比較されました。脅威シナリオは、大規模な感染症の流行、大規模な自然災害、テロ攻撃、民族または少数民族間の暴力的紛争、自国が海外での武力紛争に関与すること、核または生物兵器による攻撃、個人および家族の安全、サイバー攻撃またはハッキングの8つでした。
世界の人々の懸念の第3位は、世界のどこかで起きている核・生物・化学兵器による攻撃の脅威です。67%の人々が、今後12カ月以内に現実の脅威となる可能性があると考えています。次に、大規模な自然災害の脅威が65%を占め、次いで、自国内の民族や少数民族の間で勃発する暴力的紛争と、彼ら自身やその家族の身の安全と安心が並んでいます(それぞれ61%)。また、58%が自国で起きるテロ攻撃を真の脅威と考えており、43%が他国との武力紛争に突入することを真の脅威と考えています。
感染症流行の脅威
現在、世界的な感染症流行の真っ只中にあり、グローバル市民の78% (昨年より27ポイント上昇)が、自国で発生している流行を現実の脅威と認識しているにもかかわらず、一部の国では、流行を現実の脅威と認識する割合がほかの国よりもはるかに低くなっています。トルコ (91%) 、イギリス (88%) 、スペイン (88%) 、米国 (87%) 、オーストラリア (87%) ではこれを脅威と認識する傾向があり、サウジアラビア (62%) 、スウェーデン (63%) 、ポーランド (69%) 、ドイツ (70%) 、日本 (70%) はそうではありません。
ハッキングの脅威
長年にわたって脅威のトップを占めていたハッキングですが、現在の状況下で今回は第2位に後退しています。74%が次年には詐欺やスパイ目的でハッキングされることが現実の脅威になると考えており、南アフリカ (89%) 、トルコ (84%) 、オーストラリア (83%) 、米国 (81%) 、イギリス (80%) 、コロンビア (80%) でこの脅威が懸念されています。ハンガリー (51%) 、イタリア (62%) 、ポーランド (63%) 、オランダ (63%) 、そして日本 (64%)では、来年ハッキングが現実の脅威になるという懸念はかなり低いようです。
政府および政府機関の信頼性
グローバル市民の大多数は、感染症の蔓延やハッキングという脅威が現実のものであると信じていますが、そのような脅威に対応して自国の政府や機関が適切なレベルのセキュリティや保護を提供できるとは確信していません。実際、自国で発生している大規模な感染症の流行に対して政府が効果的に対応できると信頼している人はわずか53%であり、昨年からの増加率はわずか1ポイントであることから、現在の新型コロナウイルスへの対応では信頼感を深めることはできないようです。信頼度が最も高いのはインド (72%) 、マレーシア (70%) 、オランダ (67%) 、オーストラリア (66%) 、スウェーデン (64%) で、最も低いのはフランス (32%) 、ベルギー (34%) 、チリ (44%) 、メキシコ (45%) 、イギリス (45%) 、ペルー (45%) です。
政府が自国民をハッキングから守ることができるという信頼度はさらに低く、45% (前年比1ポイント減)です。インド (64%) 、マレーシア (62%) 、韓国 (59%) 、オーストラリア (58%) 、ロシア (55%) のような国では信頼度が高いのですが、ベルギー (33%) 、ハンガリー (34%) 、フランス (35%) 、メキシコ (36%) 、チリ (37%) ではかなり低くなっています。
下表は、検証された8つの脅威、それが来年には現実の脅威となると信じているグローバル市民の割合、そして政府とその機関がそれらの脅威を保護し、効果的に対応できると確信している割合を示しています。
認識されている脅威と、その脅威を保護または対応する能力に最も大きなギャップがある2つの分野は、ハッキングと感染症の流行です。言い換えれば、グローバル市民は、彼らが来年現実となると考えているこの2つの脅威に、自国政府が取り組む準備ができていることに神経をとがらせているのです。