中国が今後10年間に世界情勢に好影響を与えると考えるグローバル市民は少ない
イプソスがハリファックス国際安全保障フォーラム (Halifax International Security Forum) のために行った11年目の世論調査によると、中国が今後10年間に世界情勢にプラスの影響を及ぼすと考える世界市民の割合が、2020年には急激に減少しました。
世界28カ国の21,000人以上の市民を対象にした調査によると、中国が全体的に良い影響を与えると答えた人はわずか42%で、昨年より11ポイント減少しました。過去10年間で、中国がプラスの影響力を持つと考える人の割合が増え、2017年には58%にまで達しました。しかし、2018年と2019年には53%に下がり、今では、中国が今後10年間に好影響を及ぼすと考えているのは42%になりました。
ここ数年でスコアが大幅に下がった国は中国だけではありません。遡ること2016年、オバマ政権下で64%が米国が世界情勢に良い影響を与えると考えていましたが、ドナルド・トランプが大統領に選出された後の2017年には55%に低下し、2020年には50%にまで悪化しました。
調査に上がった国と組織は以下の表に、昨年の調査からの変化と共に記載されています。カナダがトップの座を維持しており、イランは最下位となっています。イギリス(66%、+4)が昨年から最も改善しており、ドイツ(78%、+3)、サウジアラビア(42%、+3)、イスラエル(39%、+3)が続いています。昨年より低下している国・機関には、中国(42%、-11)、米国(50%、-2)、インド(50%、-2)、国連(69%、-2)、フランス(70%、-1)などがあります。
しかし各国の世論は一様ではなく、他国の影響力を肯定的に評価する意見もあれば、懐疑的な意見もあります。
- 中国の影響力(全体42%)は、ロシア (81%) 、メキシコ (72%) 、マレーシア (68%) 、ペルー (67%) 、サウジアラビア (65%) で今後10年間で世界情勢にプラスの影響を与えると考える傾向があり、英国 (19%) 、カナダ (21%) 、ドイツ (24%) 、オーストラリア (24%) 、日本 (24%) 、米国 (24%) 、フランス (24%) では低評価であった。
- 米国の影響力(全体50%)については、インド (81%) 、ブラジル (75%) 、ペルー (68%) 、コロンビア (67%) 、ポーランド (65%) 、南アフリカ (65%) などは、米国が世界情勢にプラスの影響力をを与えるとみており、ドイツ (22%) 、ベルギー (28%) 、スウェーデン (29%) 、オランダ (29%) 、カナダ (30%) などは、低評価だ。
- トップのカナダ(全体81%)については、コロンビア (94%) 、メキシコ (92%) 、英国 (90%) 、オーストラリア (90%) 、ペルー (89%) 、米国 (88%) の人々がカナダのプラスの影響力を評価しており、中国 (59%) 、ロシア (62%) 、トルコ (70%) 、マレーシア (70%) 、サウジアラビア (71%) 、イタリア (71%) の人々はやや低い。
- 国連(全体69%)は、メキシコ (83%) 、インド (83%) 、中国 (81%) 、ペルー (81%) 、コロンビア (81%) 、南アフリカ (81%) は国連のプラスの影響力を評価しているが、スペイン (42%) 、トルコ (50%) 、フランス (54%) 、ベルギー (58%) 、日本 (58%) 、イタリア (58%) ではやや低い評価。
- Regarding NATO (60% overall), those in Poland (77%), Great Britain (73%), India (72%), the Netherlands (69%) and Canada (66%) are most optimistic for NATO’s positive influence in the next decade, while residents of Russia (29%), Turkey (46%), France (48%), Argentina (50%), Malaysia (52%) and China (54%) are much less convinced.NATO (全体60%)については、ポーランド (77%) 、英国 (73%) 、インド (72%) 、オランダ (69%) 、カナダ (66%) が、今後10年間のNATOのプラスの影響力について最も楽観的な見方をしている。一方、ロシア (29%) 、トルコ (46%) 、フランス (48%) 、アルゼンチン (50%) 、マレーシア (52%) 、中国 (54%) の人々はは懐疑的だ。
各国・機関が今後10年で世界情勢にプラスの影響を与えることを信頼するグローバル市民の割合