グローバルアドバイザー調査:世界がより危険になってきていると感じているのは74%ー2017年から7ポイント低下

ドナルド・トランプ米大統領の外交は世界をより安全な場所にしたと考えているのはわずか29%です。

ハリファックス国際安全保障フォーラムのためにイプソスが実施した年次グローバル世論調査の第9回では、世界の大多数 の調査対象者が「過去一年間で世界はより危険な場所になっている」と感じているものの、その割合は2017年調査から著しく低下していることが明らかになりました。世界27ヶ国で実施した調査で「過去一年間で世界はより危険な場所になっている」という意見に同意した調査対象者は74%で、昨年から7ポイント低下しました。危険性が増加した認識が最も高いのは、ペルー(84%)、メキシコ(83%)で、最も低いのが中国(57%)、日本(64%)と韓国(64%)です。韓国では、危険度の認識が2017年の85%から21%低下しました。アメリカ人(72%)よりもカナダ人(78%)の方が過去1年間で世界はより危険になっていると考えています。

調査対象者の73%は「自国政府は世界よりも国内に集中するべきである」と考えていますが、人々は世界への継続的な関与を強く支持しています。74%は「自国がモラル・リーダーとしての責任を負っており、他国の模範となるべきである」という意見に同意しています。また75%は「自国が望むものを得られなくても、グローバルな目標に向かって他国と協調するべき」という多国間主義の原則に同意しています。

ドナルド・トランプ米大統領 の外交へのアプローチに対する国際的な評価は落ちており、「トランプ大統領 の政策が世界をより安全な場所にしている」という意見に同意する人は、調査対象者のわずか29%しかいませんでした。この意見に最も同意 する国はイスラエル(52%)、インド(52%)、中国(49%)で、最も同意しない国は、トルコ(13%)とロシア(14%)です。米国では44%が同意している一方、日本ではわずか18%にとどまります。

2018年イプソス脅威指数 (Ipsos Threat Index 2018):脅威に対する世界の認識―政府の対応への国民の信頼感-低下

「様々な要因により安全保障上の脅威が引き起こされている」という認識は、昨年から弱まっています。しかし、多くの人々は今後12ヶ月間に、以下のような要因で現実的な脅威が発生すると考えています。日本で最も不安を感じられていたのは「大規模な自然災害の脅威」(83%)でした。

  • 詐欺またはスパイ目的でハッキングされる脅威(4ポイント低下の70%、日本では64%)
  • あなたの国でのテロ攻撃の脅威(8ポイント低下の64%、日本では62%)
  • 世界のどこかで起こっている核・生物・化学兵器による攻撃の脅威(63%、日本では68%)
  • あなたの国での大規模な自然災害の脅威(1ポイント低下の62%、日本では83%)
  • あなた、またはあなたの家族の個人的な安全保障の侵害(5ポイント低下の58%、日本では58%)
  • あなたの国の民族間で激しい紛争が勃発すること(4ポイント低下の57%、日本では52%)
  • あなたの国での大規模な伝染病の発生(4ポイント低下の49%、日本では56%)
  • あなたの国が他国と武力衝突すること(6ポイント低下の48%、日本では59%)

多くの人々が自国に対するこれらの脅威を現実のものと認識しているなか、注目すべきは、政府が適切な水準の安全保障と防衛を提供することができる、または、政府機関がこれらの脅威に効果的に対応できると、信じることができない人が多数であることです。全体的に、昨年から信頼感が低下しています。日本では「個人的な安全保障の侵害」(35%)に対する対策に最も信頼感が感じられていません。

  • 詐欺またはスパイ目的でハッキングされる脅威に対して(5ポイント低下の44%、日本では36%)
  • あなたの国でのテロ攻撃の脅威に対して(3ポイント低下の49%、日本では40%)
  • 世界のどこかで起こっている核・生物・化学兵器による攻撃の脅威に対して(42%、日本では40%)
  • あなたの国での大規模な自然災害の脅威に対して(3ポイント低下の53%、日本では57%)
  • あなた、またはあなたの家族の個人的な安全保障の侵害に対して(5ポイント低下の44%、日本では35%)
  • あなたの国で勃発する民族間の激しい紛争に対して(4ポイント低下の46%、日本では36%)
  • あなたの国で発生する大規模な伝染病に対して(3ポイント低下の50%、日本では40%)
  • あなたの国が他国と武力衝突することに対して(3ポイント低下の47%、日本では37%)

下表は、人々が脅威を感じている項目と政府の対策に対する信頼感におけるグローバルのギャップを示しています。最大のギャップは、データセキュリティ、化学・大量破壊兵器、テロリズム、個人の安全に関するものです。日本でもデータセキュリティと大量破壊兵器については最大のギャップ(いずれも-28%)がありました。

The World Takes a Breath

世界の人々は保護主義と世界のリーダーになる願望との間で苦闘

世界の紛争への解決策は、より孤立した方向に向かうことであるとの考え方が一部の間で広まっています。世界の調査対象者の73%(2017年より2ポイント上昇)は、「今日の困難な経済問題を踏まえれば、世界よりも自国に集中する必要がある」という意見に同意しています(31%は強く/41%はやや)。同意する傾向はロシア(83%)が最も高く、スウェーデン(59%)が最も低いという結果です。日本は63%で、同意率が3番目に低い国となっています。

しかし、より自国に集中することは世界の舞台で多くをリードする欲望と矛盾しているように思えます。

  • 調査対象者の74%(2017年より1ポイント上昇)は、「自国が世界のモラル・リーダーであるという責任を持ち、他国の模範となるべきだ」という意見に同意しています。イギリス(86%)、ロシア(86%)、カナダ(85%)、米国(85%)の人々が最も同意しています。同意する傾向が最も低いスペイン(56%)、日本(57%)でも半数は超えています。
  • また、調査対象者の75%は「たとえ自国が望むものを得られない場合であっても、他国と協調する必要がある」という意見に同意しています。こうした感情はマレーシア(83%)、ペルー(82%)、イギリス(81%)、ロシア(80%)の人々に見受けられます。一方、最も同意する割合が低かったのは日本(56%)、次いでフランス(62%)です。
  • 80%は「自由貿易が自国経済に有益である」という意見に賛同しています。昨年以来4ポイント低下していますが、依然として堅調な大多数 です。こうした感情が最も強いのはイギリス(92%)で、フランス(61%)で最も弱く、次いで日本(64%)となっています。

戦争を正当なものと見ている人々の割合は縮小―7ポイント減の37%

ある条件の下では、正義を獲得するために戦争が必要であると考える世界の人々は7ポイント低下の37%と、減少しています。このように考える傾向の最も強かった国は、米国(65%)、中国(63%)、イスラエル(62%)です。ハンガリー(20%)、アルゼンチン(20%)、日本(22%)、ペルー(22%)、ドイツ(23%)ではほとんど賛同していません。
実際、73%(23%は強く/51%はやや)の調査対象者は「経済力が軍事力よりも重要である」という意見に賛同しています。この意見に最も賛同が少ないのはアメリカ(61%)です。最も賛同する人々が多いのはインド(82%)、トルコ(82%)です。
世界の人々は、「世界の危険性を踏まえて、自国政府が自国の軍隊によりお金を使う必要があるか」に対して、意見が半分に分かれています。インド(77%)とポーランド(71%)を中心に半数(49%)が賛同しています。賛同する人々の割合が少ないのはスペイン(33%)、チリ(34%)、イタリア(35%)、日本(36%)です。

ほとんどの人は「トランプ大統領 が世界をより安全にしている」と考えていない

「ドナルド・トランプ米大統領 の世界情勢へのアプローチが、今日の世界をより安全な場所にしている」と考えるのは、世界でわずか29%です。同意が半数を超える国は、イスラエル(53%)とインド(52%)のみですが、3位の中国でも、およそ半数の49%が同意しています。最も同意しない国は、トルコ(13%)とロシア(14%)です。アメリカでは44%が同意している一方、日本はわずか18%が同意しています。

世界の59%の人々は、「次の25年間に、第1次/第2次世界大戦と同等の世界紛争が勃発するだろう」と考えています。これは、昨年比6ポイント減です。マレーシア(69%)は最も同意率が高く、次に米国(68%)が並びます。 最も同意率が低いのは日本(32%)で、2位の韓国(44%)と大きく差をつけています。

サイバー戦争についてはどうでしょうか。世界の62%の人々は、「ある国が他国のオンラインを攻撃した場合、(例えば電力網など重要インフラをハッキングした場合、)それを戦争行為と見なすことは妥当である」という考えに同意します。最も同意が多い国は、ロシア(78%)、イスラエル(77%)、インド(74%)、スウェーデン(74%)です。一方、最も同意が少ない国は、メキシコ(46%)、ドイツ(47%)、ペルー(47%)、アルゼンチン(47%)です。日本はその中間で、66%が同意しています。

「国が気候変動に対して十分に対処している」と考えるのはわずか43%

「世界のほとんどの国が気候変動に適切に対処している」と考えるのは、世界でわずか43%の人のみです。この数字は、昨年から7ポイント低い数字となっています。このことから、状況は改善しておらず、むしろ悪化していると言えそうです。最も同意する国は中国(82%)で、続くインド(67%)やマレーシア(67%)に比べ、はるかに高い数字となっています。 最も同意しない国はスウェーデン(20%)で、日本においても同意率はわずか25%にとどまります。

 

この調査結果はHalifax Internaltional Security Forumの依頼を受け、10月26日~11月9日に世界27カ国で、16歳~64歳(アメリカ、カナダでは18歳~64歳)を対象として、イプソスオンラインパネルを使用し19,312件のアンケート調査を実施したものです。
調査対象国(27カ国):アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、フランス、ドイツ、イギリス、ハンガリー、インド、イスラエル、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、トルコ、アメリカ
(*)オンラインと対面で調査を実施

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