人権に対する世界の態度:免責の時代か?

世界の38%が、自国は人権に関する国際法に決して違反してはならないと考えています。しかし、21%の人々が極端な状況では自国はこれらの法律を破ってもいいと考えており、22%の人が国際法は自国が考慮すべき要素の一つにすぎないと考えています。

著者

  • Kully Kaur-Ballagan Public Affairs, UK
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イプソスと Policy Institute at King’s College London (キングスカレッジ・ロンドン政策研究所)は、6月20日にDavid Miliband氏がキングスカレッジ・ロンドンで行なう2019 Fulbright Legacy Lecture(2019年フルブライト・レガシーレクチャー)のために、世界24カ国で17,000件のアンケートをオンライン調査で実施しました。主な結果は次のとおりです。

国際法と人権

世界24カ国の調査対象者の38%が「自国は人権に関する国際法に決して違反してはならない」と考えています。しかし21%は「自国が極端な状況下ではこれらの法律を破るべきだ」と考えており、同様の割合の人々は「国際法は自国が考慮すべき要素の一つにすぎない」と考えています(22%)。

53%は「自国の軍は常に民間人の犠牲を避けることを国益よりも優先すべきだ」と考えていますが、14%はそれに反対しています。

また、51%の人々は「ある国が戦争犯罪を犯した場合、たとえそれが主権を侵害するものであっても、他国が介入してそれを阻止すべきである」ことに同意しています。しかしこの意見への同意は、介入する国が自国である場合には41%に減少します。

国際関係

世界の調査対象者の36%の人々は「たとえ自国の経済に打撃を与えたとしても、自国は人権侵害のない国とだけ貿易すべきだ」と考えています。しかし33%は「人権状況にかかわらず、自国の経済にプラスになればどの国とも貿易すべきだ」と考えています。

緊密な関係を築く相手国の条件として、 経済的利益(44%)と安全保障上の利益(40%)が最も重要なトップ2だという結果がでており、その次にはその国の人権の尊重と国際法の尊重(いずれも30%)がきており、環境への影響(20%)、民主主義かどうか(20%)、軍事的利益(19%)、歴史的関係(14%)などの条件を上回っています。

国や国際的機関の影響力

イラン(31%)は、今回の調査対象者全体から「悪いほうに影響力を行使している」と考えられている割合が最も高い国です。続いてイスラエル(24%)、ロシア(25%)、サウジアラビア(25%)の順となっています。アメリカ(22%)はその次に「悪いほうに影響力を行使している」と考えられている割合が高い国ですが、18%には「良いほうに影響力を行使している」と考えられており、37%には「良いことにも悪いことにも影響力を行使している」と考えられています。   

ロシア(53%)、トルコ(42%)、ドイツ(37%)では、アメリカが「悪いほうに影響力を行使している」と考えている人の割合が高くなっています。

一方、「良いほうに影響力を行使している」と考えられている割合が最も高いのはカナダ(37%)、続いて国連(35%)、ドイツ(32%)の順となっています。

世界の調査対象者の29%は、10年前と比較するとアメリカは「良いほうに影響力を行使する」傾向が弱い考えています。ロシア(29%)、イスラエル(27%)、イラン(32%)、サウジアラビア(29%)が同様の結果となっています。しかし、10年前と比較してアメリカが「良いほうに影響力を行使する」傾向が強い考えている人々は17%で、ロシア(13%)、イスラエル(10%)、サウジアラビア(9%)、イラン(7%)よりも高い割合です。

10年前と比較してアメリカが「良いほうに影響力を行使する」傾向が弱いと考えている割合がもっとも高いのは、メキシコ(43%)、ロシア(42%)、チリ(40%)です。

 

この調査結果は、6月20日にKing's College Londonでの元英国外務大臣David Miliband氏による2019年フルブライト・レガシーレクチャーに反映される予定です。講演の中でMiliband氏は、西側諸国が世界的責任の立場から後退し、圧政的な政府が比較的免責されたまま行動することを許したと主張するでしょう。David Miliband氏による2019年フルブライト・レガシーレクチャーについての詳細はこちらをご覧ください。

本データは2019年4月19日~5月3日、世界24カ国の16歳/18歳~74歳を対象にオンライン調査で実施した17,000件のアンケートに基づくものです。24カ国中15カ国(アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、ドイツ、英国、ハンガリー、イタリア、日本、ポーランド、韓国、スペイン、スウェーデン、米国)では各国の代表性のあるサンプルを抽出、その他9カ国(ブラジル、チリ、インド、マレーシア、メキシコ、ペルー、ロシア、南アフリカ、トルコ)では各国の一般大衆よりも都市部在住、高学歴、高収入のサンプルで、これらの回答者を「アッパー・デック・コンシューマー市民」と呼んでいます。 彼らは各国の代表性を持ったサンプルではありません。

著者

  • Kully Kaur-Ballagan Public Affairs, UK

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