グローバル 医療サービス モニター 2020

イプソスが世界27カ国で実施した調査によると、世界がコロナウイルスの大流行に立ち向かう中で、医療サービスに対する満足度と信頼が高まっていることが分かりました。待ち時間とスタッフの不足は、一般に認識される主な課題です。

主な調査結果:

  • コロナウイルスは、調査対象の27カ国の人々から、今年最大の健康問題であると考えられている。新型コロナウイルスは「現在自国の人々が直面している健康問題である」と回答した人の割合は、がん(2018年の調査ではトップ)と回答した人のほぼ2倍である。
  • メンタルヘルスは重要な健康問題と考えられており、全体で3位にランクされている。35歳未満の人の多くがこれを大きな問題と回答している。男性よりも女性の方が高い。
  • 自国の医療サービスに対する一般市民の評価は、2年前よりも全般的に肯定的であり、患者が最善の治療を受けるとの信頼が高まっていると報告されている。
  • 治療へのアクセス/待機時間は、医療システムにとって最大の課題と考えられており、人員不足がそれに続く。費用も多くの国で重要な問題である。
  • 3人に1人は、自国の医療が将来改善することを期待している。改善すると考える人は悪化すると考える人の2倍であるが、保健システムが確立されている国では悲観的な傾向がみられる。

最大の健康問題

今日の世界的な健康上の最大の懸念は当然ながら「コロナウイルス」です。これは27カ国中26カ国でトップで、全体の72%がこれを現在自国の人々が直面している健康問題として選択しています。第2位は「がん」(37%)ですが、その割合はコロナウイルスのおよそ半分です。

次に重要な健康問題として挙げられているのが「メンタルヘルス」と「ストレス」です。スウェーデン、チリ、オーストラリアの人々はメンタルヘルスへの懸念が最も高く、韓国、日本、スウェーデンがストレスを指摘する傾向が最も高くなっています。

「肥満」は、今年の調査では、前回の2位から5位に落ちています。

健康問題としての心臓病の重要度は、ここでの7位には反映されていません。イプソスが2020年初頭に実施した「死の危険」調査 ( “Perils of Death” study )によると、心臓病は世界の死亡者数の死因の約1/3を占めていました。これは世界の人々が過小評価していることです。また、がんによる死亡者数も一般に考えられているよりも高くなります。

世界的なコロナウイルスの懸念の詳細については、最新の世界が懸念していること調査(What Worries the World )をご覧ください。

自国の医療サービスをどう評価するか

コロナウイルスの大流行が世界中の国々の医療システムに大きな負担をかけているにもかかわらず、利用可能な医療サービスを肯定的に評価している人々が2年前よりも世界中で増えています。今年度の調査では「良い」が50% (2018年度調査より5ポイント増)、「悪い」が18% (2018年度調査より5ポイント減)でした。

  • 医療サービスはオーストラリア (81%) 、オランダ (76%) 、英国 (74%) で最も高く評価されている。
  • 自国の医療サービスを「悪い」と評価する傾向が最も高い国はポーランド (53%) 、ハンガリー (42%) 、ペルー (40%) である。
  • 医療サービスの質の評価では、サウジアラビア (+19) 、中国 (+14) 、ブラジル、スウェーデン(いずれも+13)で改善が見られる。

全体的に見て、人々は今日、自国の医療サービスから最善の治療を受けられるという強い信頼感を表明しています。これは前回調査から9ポイント上昇し、41%から50%になりました。しかし、世界的には24%がこの意見に反対しています(2018年調査の28%より4ポイント減)。

  • 信頼度はマレーシア (75%) 、オーストラリア (74%) 、中国 (74%) が最も高い。
  • 信頼度が最も低いのは、ハンガリー (16%)、ロシア (16%)、ポーランド (18%)。
  • 医療への信頼度が最も高まっているのは、中国(2018年調査より28ポイント増)、サウジアラビア (21ポイント増) 、韓国 (18ポイント増)。

医療システムの課題

医療システムにおいて認識されている最大の課題は、治療へのアクセス、長い待ち時間、および医療システムの行き過ぎ/人手不足です。費用も多くの国で懸念されています。

最大の課題は以下のとおりです。

  1. 治療へのアクセス/長い待ち時間 40%
  2. 人手不足 36%
  3. 治療にかかる費用 32%

調査対象国全体で、55%が医療システムが行き過ぎだと回答しています。これは、自国の医療システムがどれだけ高く評価されているかに関係なく問題となっています。イギリス、ハンガリー、スウェーデン、スペイン、ペルーでこの意見に同意する割合が最も高くなっています。また、62%が診察までの待ち時間が長すぎると答えています。

医療面での不平等の認識となると、調査対象国全体の59%が、自国では多くの人々が良い医療を受ける余裕がないと答えています。南アフリカ、ペルー、チリ、ハンガリー、ブラジル、ポーランド、アルゼンチンの7カ国では10人に8人がこう回答しています。また、医療サービスがすべての人に同じ標準的なケアを提供しているかどうかについても意見が分かれています。37%が同意していますが、38%が同意していません。地理的な違いもあります。

ワクチン

調査対象の27カ国では、64%が感染症の予防接種を義務化すべきだと考えており、15%がこれに反対しています。マレーシア、アルゼンチン、サウジアラビアで同意する割合が最も高く、ロシア、米国、フランス、ポーランドでは同意の割合が低くなっています。

可能であれば、新型コロナウイルスのワクチン接種をするという一般市民の意思は、世界15カ国で73%です。詳細については、2020年10月の調査をご覧ください。

将来を見据えて

3人に1人は、将来医療が改善する(32%)と期待しています。これは悪化する(16%) と考えている人の2倍にあたります。しかし、これには地理的に大きな違いがあり、中南米諸国では特に改善を確信しています。一方、イギリス、フランスは悪化する(いずれも33%)と回答する割合が最も高い国です。

自国の医療システムをどのように評価しているか、今後改善されると思われるかどうかに基づいて、各国を4つのカテゴリーに分類しました。

 

イプソスの2020年グローバル医療サービス調査は、世界の公衆衛生において例外的な時期に、人々の医療サービスに対する見方と懸念を明らかにしています。調査結果の中にはコロナウイルスの大流行の直接のに影響を物語っているものもありますが、世界中の多くの国における医療サービスに関するより広範で長期的な課題を明らかにしています。

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