10人に7人が、今後10年以内に気候変動が自分の住む地域に「深刻な影響」を及ぼすと予想している
COP28に先駆けて発表されたこの調査は、気候変動について人々が現在どのように感じているか、そして気候変動がもたらす課題に対処するための行動についてどのように考えているかに焦点を当て、新たな評価を提供しています。
主な調査結果:
- 31 カ国の過半数 (57%) が、すでに居住地域で気候変動の深刻な影響を目の当たりにしている。メキシコ、ブラジル、トルコなどの国では、この数字は 10 人に 8人という高さである。
- 38%は、今後25年以内に気候変動の影響で故郷を追われる可能性があると回答している。
- 10人に6人(59%)は、気候変動への取り組みについて、より良い選択をするために自国の政府が十分な情報を提供していないと回答している。また、63% が潜在的な影響について最新情報を提供する政府の取り組みに批判的である。
- おおむね、人々はメディアが気候変動の影響を過小評価していると考える傾向にある(42%、対して誇張していると回答したのは 23%)。
- しかし、批判は政府やメディアに限った話ではない。59% が自国の企業は気候変動への取り組みに十分な努力をしていないと回答し、71% が実際の変化を約束することなく環境保護を謳っていると述べている。
この調査結果について、イプソスのチーフサステナビリティオフィサー兼ESG担当責任者であるLauren Demarは、次のようにコメントしています。
”世界の指導者達がCOPに集まる中、イプソスの最新の調査は、大多数の人が気候変動の深刻な影響を目の当たりにしているだけでなく、その深刻化に備えているという厳しい現実を明らかにした。なんと10人に7人が、今後10年以内に気候変動が自分たちの生活に重大な影響を与えると予想している。
私たちの調査は、重大な断絶を浮き彫りにしており、政府も企業も国民の懸念に見合った行動や透明性を提供出来ていないという見方が広まっている。”
気候変動の影響
ほぼ 10 人に 6 人 (57%) が、住んでいる地域における気候変動の深刻な影響を報告していますが、これは国によって大きく異なります。報告されている気候変動の影響は、メキシコ (81%)、ブラジル (79%)、トルコ (79%) で最も高い結果となりました。深刻な影響を訴える人が5 分の 2 未満なのは英国とスウェーデンの 2 カ国だけです(それぞれ 34% と 24%)。 31カ国全体を見ると、特に懸念を示しているのはラテンアメリカの人々で、上位 10カ国のうち 6カ国がラテンアメリカの国々となりました。
また今後 10 年間で、気候変動が居住地域に深刻な影響を与えると予想する割合は世界各国の平均で 71% に達します。 6カ国では 10 人に 8 人がそう考えており、韓国ではその数字が 10 人に 9 人近く (88%) に達します。
さらに、今後 25 年以内に故郷を追われると予想している人は約 5 分の 2 (38%) で、トルコ (68%) とブラジル (61%) が最も高い結果となりました。一方すべてのヨーロッパ諸国では低い結果となり、英国、ポーランド、スウェーデン、ドイツ、オランダでは、移住を余儀なくされると予想している人の割合は4人に1人以下となりました。
気候変動に関する情報
世界平均では、人々は自分たちが入手できる情報だけでは正しい対策を講じるのに十分であるとは考えていません。政府、企業、メディアに対する信頼が欠けているようです。
世界の人々の 10 人に 6 人は、自国の政府や企業が気候変動に関する適切な情報を提供していないと回答しています (それぞれ 59% と 61%)。
メディアに関しては、気候変動の影響について適切な表現をしていると答えたのは世界全体でわずか 24% で、42% がその影響を過小評価していると考えており、23% が気候変動が意味するものを誇張していると答えています。ここでも、状況は国によって大きく異なります。ラテンアメリカでは、メディアがその影響を過小評価しているという意識が非常に強いです。一方、インド、オランダ、オーストラリア、ドイツ、米国では、メディアによる気候変動の描写に対する意見が大きく異なります。
気候変動対策
自国の政府が気候変動対策に精力的に取り組んでいると考えるのは、世界の人々の 3 分の 1 強 (36%) に留まります。 31カ国中21カ国では、半数以上の人々が、自国の政府は気候変動対策に十分に取り組んでいない、あるいはまったく取り組んでいないと回答しています。
アルゼンチンでは、政府がこの問題に熱心に取り組んでいると考えている国民はわずか9%です。ペルー(13%)と日本(19%)の人々も自国の政府を低く評価しています。
気候変動に関する企業の取り組みに対する信頼も低く、32%が熱心に取り組んでいると答えていますが、59%は十分に取り組んでいないと答えています。
世界全体では、71% が、企業は実際の変化を約束することなく、環境に関する主張を少なくとも時々行っていると考えており、そのうち 37% は、頻繁または常にそれを行っていると回答しています。後者の数字は英国では 48% にのぼります。
とは言え、人々もまた、自分自身が気候変動に取り組むために十分な努力をしていないと感じています。 5 分の 3 (59%) が、自国の人々は十分に、あるいはまったく貢献していないと回答しており、特にラテンアメリカでは顕著で、ペルー (79%)、次いでアルゼンチン (77%)、コロンビア (77%) となっています。
本調査について
これは、イプソスがオンライン プラットフォーム 「Global Advisor」と、インドではプラットフォーム「 IndiaBus 」で、2023 年 9 月 22 日金曜日~ 10 月 6 日金曜日にかけて実施した31カ国の調査の結果です。今回の調査では、インドの18歳以上、カナダ、アイルランド共和国、イスラエル、マレーシア、ニュージーランド、南アフリカ、トルコ、米国の18~74歳、タイの20~74歳、インドネシアとシンガポールの21~74歳、その他の国の 16 ~ 74 歳の成人計24,220人を対象に調査を実施しました。