She Speaks:中東と北アフリカの女性に関する調査

2016.11 「女性」は世界最強の消費者セグメントのひとつです。女性の影響力は主要カテゴリーの多くで発揮されますし、家庭用品の購入決定においてはその影響力は最大です。中東と北アフリカ(以下、MENA)でも消費セグメントとしての女性の強みが顕著になってきています。イプソスでは、MENAの女性を理解し、そのポテンシャルを活用するためにこの地域のシンジケート調査「She Speaks」を実施しました。10月に発表したトップラインレポートの一部をご紹介します。

「She Speaks」は、この地域の女性を対象として最も包括的に行われたシンジケート調査です。MENAの女性たちをさまざまな側面から理解するため、彼女らの生活実態や願望、ライフスタイル、行動についてスポットライトを当てています。

この調査の主要な結果を「MENAの女性について知っておきたい10のこと」として以下にまとめました。

1) 多くの市場において、女性は世帯を代表する購入者である

世帯の中心となる女性の10人に8人が、その世帯のショッピングについて責任者である。最も割合の高い国はエジプト(94%)で、低い国はイラク(46%、半数を下回った唯一の国)である。

2) 女性は多くのカテゴリーにおいて、世帯の購入決定に関与している

世帯の中心となる女性は、世帯での購入決定に関与する割合が高い。パーソナルケア製品で96%、食料品・飲料で93%、家電製品で89%、家具や服飾品で88%が購入決定に関与している。

3) 自分の生活費を稼ぎ出している女性は少数派である

中東の女性は「お小遣い」が収入源の人が66%、仕事の報酬の人は16%である。お小遣いに頼っている女性の割合が最も高い国はイラン(83%)、最も低い国はクウェート(41%)である。

4) 女性は、「特典や販促キャンペーンの有無」VS「品質」のバランスをとって、製品選択を行っている

品質や信頼のあるブランド名をより重視する女性が55%いる一方で、低価格や、サービス特典がある販促キャンペーン中であることを好む女性が45%いる。裕福な湾岸諸国では、品質がかなり重要視されているが(サウジアラビアでは、価格よりも品質を選ぶ人の割合が66%)、他の地域では拮抗している。

5)女性の間で見られるブランド・ロヤルティは、特典やお買い得商品を常に求めている人が多数いることを含み合わせると中程度である

知っているブランドに常にこだわる女性は、ちょうど半数(50%)である。とは言え、57%は「最高の特典やお買い得商品に関する情報に対してアンテナを張って」おり、40%は「買うつもりのなかった商品をいつも衝動的に買ってしまう」と回答している。

6) 女性は、購入前に比較・物色するために情報を探し求める

女性の53%は「製品を買う前にまず必ず情報を収集する」という。イラン人の女性については、購入前に情報収集をする人が66%で、最も情報通である。一方、ヨルダン人の女性のその割合は3分の1超(37%)にとどまっている。。

7)インターネットを利用している中東の女性の割合は高い

MENA地域全体でインターネットを利用している女性は10人中7人(69%)である。最も割合の高い国はクウェート(99%)で、低い国はモロッコ(54%)である。MENA地域のインターネットを利用している女性の86%がソーシャルメディアを利用している。利用するソーシャルメディア・プラットフォームの首位はYouTubeで、4分の3(75%)が利用している。Facebook(71%)、Instagram(64%)、Snapchat(59%)などの主要なソーシャルメディア・プラットフォームも多数の女性が利用している。

8)しかし、製品やブランドのニュースを見る際には依然として「従来型」のメディアに依存している

製品やブランドに関する主な情報源として、従来型のメディアを挙げる女性の割合は4分の3(74%)である。オンラインで情報を得る女性の割合が、僅差ではあるが、従来型を上回る国はクウェート(54%)のみである。しかし、若年層の女性はこの情勢を変えていきそうだ。18~24歳の層をみると、47%がこの種の情報をオンラインで得ている。

9)自分の好きなブランドとインタラクションを行っている女性の割合は高い

自分の好きなブランドとインタラクションを行っている女性は半数(49%)である。湾岸諸国全体では平均を大幅に上回り、「ブランドとインタラクションを行ったことがある」女性は、アラブ首長国連邦で79%、クウェートで72%、サウジアラビアで62%である。最もよく使われるインタラクションの方法は「Facebookで[いいね!]ボタンをクリックする」(39%)、次いで「ブランドを推奨する」(33%)である。

10)しかしながら、この地域の女性の間では、オンラインショッピングの普及率は低い

女性の間で、インターネット自体の利用率や買い物の情報収集のためにインターネットを利用する割合は高いものの、「実際にオンラインで製品を購入したことがある」女性はたったの14%である。アラブ首長国連邦では25%に上るが、エジプトでは3%にとどまる。この地域の女性は、製品をオンラインでオーダーしたとしても、支払いは配達時の現金払いを好む傾向があり、現金払いの方が利用しやすく、便利で、信頼性が高いと考えていることがわかる。

調査概要

調査時期
2016年1月~6月
調査対象者
15~54歳女性
調査対象国
9カ国(サウジアラビア、クウェート、アラブ首長国連邦、イラン、モロッコ、エジプト、イラク、ヨルダン、レバノン)
調査方法とサンプルサイズ
定量調査: 13,500サンプル + グループインタビュー:92件/エスノグラフィー(イマージョン):120件

 

 

この調査のトップラインレポート(英語のみ)は、下記からダウンロードしていただけます。

 

 

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