世界の大手飲料メーカーは、アルミ缶に水を入れることで、プラスチックとの戦いを次の段階に進めようとしています。
コカ・コーラは今週、米北東部でアルミ缶入り飲料水 「Dasani」 の販売を9月に開始し、来年には米国の他の地域にも拡大する計画であると発表しました。
ライバルのペプシコも6月、ボトル入り飲料水「Aquafina」の缶入りを来年から試験販売すると発表しています。
両社は世界最大級のボトル入り飲料水の生産企業です。一般的に、アルミ缶はペットボトルよりも再生材料を多く含むことが知られています。
缶入りの水から紙のストローまで、食品や飲料の企業は、プラスチックが引き起こす環境破壊への反発が高まる中、プラスチックの包装を減らす革新的な方法を考え出そうとしてきました。
これは企業の責任だ
イプソスが2019年2月から3月にかけて2万人近くを対象に実施した調査によると、世界28カ国の調査対象者の20%が「無駄な包装を減らす責任はパッケージ商品を生産する企業にある」と回答しました。
それに加え、34%の対象者は「ごみの排出量削減」を自国が直面している環境問題として「地球温暖化」と「大気汚染」に続くトップ3の一つとしてあげています。
本レポートの著者であるクリス・ジャクソンとニコラス・ボヨンによると、調査対象者の81%は、リサイクルできない使い捨ての製品に関する問題を懸念事項としてあげており、現在ではそうした包装によって生じる問題を減らすために行動を起こすことに前向きな人が増えていると言います。
「現在では、過半数が再生材料を使用した製品の購入を希望しており(2018年の47%から51%に増加)、使い捨て用品を再利用する人も増えている(53%から56%に増加)。」
リサイクル製品を購入する意思のある人が多い国:
- コロンビア(70%)
- 南アフリカ(69%)
- メキシコ(63%)
- アルゼンチン、ブラジル、ペルー(58%)
しかし、このように行動を求める声が高まっているにもかかわらず、一般の人々は、より環境に優しい製品のためにより多くのお金を払う気にはなっていません。
リサイクル施設を改善するために税金をもっと払うと答えたのは調査対象者の12%に過ぎず、リサイクルできない包装を使用していない製品に余分にお金を払うと答えたのはわずか14%でした。
Dasaniの新しいアルミ缶パッケージは消費者により高いコストがかかるかとの質問に対し、コカ・コーラの広報担当オースティン・ローバック氏は、新製品は既存のペットボトル入り飲料水と同じ程度の価格になるだろうとイプソスに語りました。
革新を強いられる企業
カナダのダルハウジー大学農業食品分析研究所のシニアディレクター、シルバン・チャールボワ氏は「消費者は、企業がコスト上昇の責任を負うべきだと、最終的には感じる」と述べました。
「こういったことは食品業界でどんどん起きてる。製品を販売したときにそのパッケージに特定のブランドが付いていれば、企業はその日の終わりにそのパッケージに何が起きても責任を問われる。」
「多くの企業が、消費者を含むサプライチェーン全体を当然のものと考えていた時代は、とっくに過ぎ去ってしまった。利益団体は企業を緊張させている。そして多くの場合、それは革新につながることが多い。これが現在の本質だ。」 とチャールボワ氏は付け加えました。
一方、コカ・コーラのブランド名を冠した飲料は依然として同社の売上をけん引しており、最新の決算では純利益が予想を上回る26億米ドル、売上高が100億米ドルを記録しました。また、ペプシコは最新四半期に20億米ドル以上の収益を報告しました。
飲料大手によるこの動きによって、より多くの人々がこれらのブランドの水を飲むようになるかどうかはまだ分かりませんが、チャールボワ氏は、彼らがより多くの利益を上げるために展開する方法は、常にさまざまなロビーグループによって精査されると考えています。
「(環境グループとの間の)平和を自動的に購入する手段はないと思う。これらの企業には問題を解決する特効薬はない。」