人工知能への蔓延する懸念

世界経済フォーラムの最新のグローバル調査によると、政府や企業による人工知能 (AI) の利用をより厳しく規制すべきだという意見への同意は反対を上回っています。

著者
  • Nicolas Boyon Public Affairs, US
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世界経済フォーラム(World Economic Forum) が発表したイプソスの調査によると、世界の人々の10人に4人が人工知能(AI)の使用に不安を感じています。イプソスは4月19日~5月3日、世界27カ国の20,107人を対象にGlobal Advisorオンラインプラットフォームで調査を実施しました。調査対象者の41%は「AIの使用について心配している」という意見に同意すると回答、27%が同意しないと回答し、32%はどちらでもないと回答しています。

同様に、40%が「政府によるAIの使用を現在よりも厳しく制限すべきだ」という意見に同意すると回答、24%が同意しないと回答し、36%がどちらでもないと回答しています。企業の規制強化への支持はさらに高まっており、調査対象者のの半数近く(48%)が「企業によるAIの使用を現在よりも厳しく規制すべきだ」という意見に同意すると回答、同意しないと回答したのはわずか20%で、どちらでもないと回答したのは32%です。

しかし「AIを全面的に禁止すべきだ」という意見への同意は19%に止まり、48%は同意しない、33%はどちらでもないと回答しました。

一部の人の予想とは異なり、AIに対する世界的な態度は、年齢、所得、教育水準、性別によってほとんど変わりはありません。

  • 35歳未満では、35歳から49歳、および50歳以上よりも、「政府によるAIの使用をさらに制限すべき」に同意する傾向がやや低く(それぞれ38%、41%、41%)、「企業によるAIの使用をさらに規制すべき」に同意する傾向もやや低い(それぞれ46%、50%、50%)。
  • 「AIの一般的な利用について懸念がある」という意見への同意は教育水準による差はほとんど見られない(低水準41%、中水準42%、高水準41%)。同様に「政府によるAIの使用をさらに制限すべき」という意見への同意(それぞれ41%、40%、39%)、「企業によるAIの使用をさらに規制すべき」という意見への同意(それぞれ48%、49%、49%)でも大差はない。
  • 女性(44%)は男性(39%)よりもAIに不安を感じる傾向がある。しかし「政府によるAIの使用をさらに制限すべき」(女性41% vs 男性39%)や「企業によるAIの使用をさらに規制すべき」(49% vs 47%)という意見への同意はわずかに上回る程度である。

この調査結果は、中国・大連で開催された世界経済フォーラムの第13回ニューチャンピオン年次総会で発表されました。

本調査はイプソスのオンライン調査プラットフォームであるGlobal Advisorを使用して、2019年5月24日~6月7日の間に世界27カ国で実施されました。アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、チリ、中国(本土)、コロンビア、フランス、ドイツ、イギリス、ハンガリー、インド、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、ペルー、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、スペイン、スウェーデンでは16歳~74歳、カナダ、南アフリカ、トルコ、米国は18歳~74歳、韓国では19歳~74歳の20,107人を対象にアンケートを実施しました。
オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国(本土)、フランス、ドイツ、英国、イタリア、日本、メキシコ、サウジアラビア、スペイン、米国ではの1,000人以上、その他の国では500人以上が対象サンプルです。各国のサンプル構成は最新の国勢調査データに基づく成人人口の人口統計プロファイルを最もよく反映するよう加重されています。合計「グローバル」サンプルにおいては各国に等しい加重を与えています。
著者
  • Nicolas Boyon Public Affairs, US

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