HISF-イプソス脅威指数によると、自然災害が最も急速に拡大している脅威であることが明らかに

ハリファックス国際安全保障フォーラムのためにイプソスが実施した調査では、世界の人々の間では、自然災害が主要な脅威であるとの見方が強まっていることが明らかになりました。

著者
  • Darrell Bricker Global Service Line Leader, Public Affairs, Canada
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記録的な猛暑が続き、森林火災や洪水に見舞われた今年も、世界中の人々は明らかに懸念を示しています。

ハリファックス国際安全保障フォーラムのためにイプソスが実施した、23,000人以上を対象とした新たな世論調査(HISF-イプソス脅威指数)によると、自国で起きている大規模な自然災害をやや、または非常に現実的な脅威だと感じている割合が、2015 年の 58%、2022 年の 66%から増加し、2023 年には世界の平均で70%となりました。

北半球での火災や洪水が多発する、うだるような夏を考えると、カナダ (2 ポイント増の 74%) と米国 (1 ポイント増の 84%) では自然災害が脅威であると感じている人の割合が前年比で微増しており、懸念は世界各国の平均を上回っています。

イプソス |ハリファックス国際セキュリティフォーラム 2023

自然災害への懸念が他の深刻な脅威に迫る

今年の世論調査は、2023年9月22日~10月6日にかけてイプソスのグローバルアドバイザーオンライン調査プラットフォームで実施されたため、2023年10月7日に始まったイスラエルとハマスの戦争が世界に与えた影響は反映されていません 。しかしこの世論調査は、記録的な猛暑の後、そしてウクライナ侵攻が2年目に入り長引く中で、人々がどのように感じているかを明らかにしました。

イプソス |ハリファックス国際セキュリティフォーラム 2023

現在、自然災害 (70%、+4ポイント) が、現実的な脅威として認識されており、大規模な感染症の発生(63%、+3 ポイント)、テロ攻撃 (63%、+2 ポイント)、個人またはその家族の個人的な安全保障の侵害 (63%、+2 ポイント)、自国内の民族またはマイノリティグループ間で暴力的な紛争が勃発すること (60%、+1 ポイント)、または他国と武力衝突すること (49%、-1 ポイント) などを上回っています。ほとんどの指標において、認識される脅威は増加しています。

核・生物・化学兵器による攻撃への懸念が和らぐ

世界のどこかで核・生物・化学兵器による攻撃が発生するという懸念は、2022 年初頭のウクライナ侵攻をきっかけに急増しましたが、2023 年には低下しました (71%、-4 ポイント)。

減少したとはいえ、攻撃の可能性についての懸念は依然として広く存在しており、フランスの58%(-5ポイント)からタイの85%(+1ポイント)に至るまで、調査対象となったすべての国で大多数が現実の脅威とみています。

核・生物・化学兵器による攻撃に対する懸念が前年比で最も減少した国は、ポーランド (-11 ポイントで 61%)、インド[1] (-8 ポイントで 64%)、メキシコ (-7 ポイントで 71%)、イタリア (-7 ポイントで 58%)です。カナダでは懸念が4ポイント低下して69%となりましたが、米国では1ポイント上昇し78%となり、世界各国の平均と比べて依然として脅威に対する認識がはるかに高くなっています。

ハッキングの脅威が再びトップの座に

サイバーハッキングは、2022 年に核兵器による攻撃の脅威に抜かれて以来、再び現実の脅威のトップと考えられています。ハッキングは長年にわたり主な懸念事項であり、前年比でも74% で推移しています。

2015年以降、詐欺やスパイ目的のハッキングは、2020年(新型コロナウイルスのパンデミックが宣言された年)と2022年(ロシアがウクライナに侵攻した年)を除き、最も広く現実の脅威であると見なされています。

イプソスが今年調査を実施した30カ国のうち、オーストラリア(-5ポイントで79%)、スペイン(-5ポイントで74%)、イタリア (-5 ポイントで 64%)、インド (-9 ポイントで 63%)を含む4カ国で、サイバー攻撃を現実の脅威とする人の割合が5ポイント以上減少しました。

調査対象国のすべてで、ほとんどの回答者にとってハッキングは現実的な脅威であると考えられていますが、アルゼンチン (+5 ポイントで 75%)、オランダ (+6 ポイントで 70%)、ハンガリー (6 ポイント増で 56%) の 3 カ国では大幅に上昇しています。ハッキングに対する懸念は、米国では 2 ポイント低下して 79% となり、カナダでは 2 ポイント上昇して 77% となりました。

世の中は昔より少し悪くなったのか?

ここ数年、世界中の人々がパンデミックや戦争、インフレに見舞われているにもかかわらず、物事が良くなっていると考える人の割合は減っていません。

最近は物事が悪くなっているよりも良くなっていると考える人の割合は、前年と変わらず2023 年には47% にとどまりましたが、イプソスがこの質問を調査し始めた2017年に比べると4ポイント低いままです。

感染症に対する懸念がやや高まる

世界保健機関(WHO)は、2023 年 5 月 5 日に、ついに新型コロナウイルスによる世界的な公衆衛生上の緊急事態の終結を宣言しましたが、ウイルスは依然として各地で猛威を振るっています。

新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、まもなく終わりが来ることを期待する割合は、2023 年には 61% (-1 ポイント) とわずかに低下しました。新型コロナウイルス危機の終息が近いと考える人は、オランダ (+25ポイントで70%)、 ポーランド (+16 ポイントで 70%)、ドイツ (+9 ポイントで 55%)、タイ (+8 ポイントで 81%)、スウェーデン (+7 ポイントで 59%)、イタリア (+6 ポイントで 66%)、チリ(+5 ポイントで73%)、オーストラリア(+5 ポイントで 56%)、ベルギー(+5 ポイントで 51%)を含む 9 カ国で大幅に増加しました。

一方、ペルー(-13ポイントで62%)、トルコ(-10ポイントで57%)、メキシコ(-7ポイントで59%)スペイン(-7 ポイントで 58%)、アルゼンチン(-7 ポイントで 57%)、マレーシア(-5 ポイントで 68%)、日本(-5 ポイントで 35%)を含む7カ国では、新型コロナウイルス危機は抑制されており、間もなく終息するとの見方に対して悲観的な様子が顕著に見られました。カナダと米国では「終わりが近い」という希望が2ポイント低下し、現在は両国ともに46%にとどまっています。

100年に一度のこの出来事は、当然のことながら世界の人々に影響を与えたようです。

自国で大規模な感染症が発生することを懸念している人の割合は前年比で3ポイント上昇し、2023年には世界平均で63%となりました。これはパンデミック1年目の2020年に感染症が現実の脅威であると考えた78%を大きく下回るものの、パンデミック以前の2019年に同じように考えていた51%を大きく上回っています。

脅威に対処する政府および政府機関への信頼の欠如

世界中で多くの人々が、認識されている現実の脅威に対して「適切なレベルの安全保障と保護が自国の政府によって提供されているか、あるいは政府機関が効果的に対応できているか」ということに懐疑的であり続けています。

2023 年には、世界平均で 63% の人が感染症の流行を現実の脅威とみなしていますが、自国で大規模な感染症の流行が発生した場合の政府の対応能力に確信を持つ人は 51%に過ぎず、その差は 12 ポイントです。これに対し、2022年には世界平均で60%の人が、大規模な感染症の発生が現実の脅威であると考えていたのに対し、自国の政府が効果的に対応できると確信していた割合は51%(9ポイントの差)でした。

そして、大多数(世界各国平均で 70%)が自然災害が現実の脅威であると感じている一方で、半数強(53%)は政府がその脅威に効果的に対応できるとやや、または強く確信を持っており、その差は 17 ポイントです。これは、2022 年と比較すると、66% が自然災害を現実の脅威とみなし、52% が政府の対応に自信を持っており、その差は 14 ポイントでした。


目次

  1. カナダとドイツは世界で前向きなリーダーとみられる傾向が強い
  2. ドローンの攻撃:10人に6人が AIベースの防衛システムの脅威を感じている
  3. HISF-イプソス脅威指数によると、自然災害が最も急速に拡大している脅威であることが明らかに
  4. 市民の意見はほぼ一致:世界はより危険になりつつある
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本調査について

これは、イプソスが2023年9月22日金曜日~10月6日金曜日にイプソス グローバルアドバイザー オンライン プラットフォームで、インドでは IndiaBus プラットフォームで、 30カ国を対象に実施した調査の結果です。インドでは18歳以上、カナダ、アイルランド共和国、マレーシア、ニュージーランド、南アフリカ、トルコ、米国では18~74歳、タイでは20~74歳、インドネシアとシンガポールでは21~74歳、他のすべての国では 16~74 歳の23,220人を対象に調査を実施しました。

[1]調査手法の変更により、この調査はより広範なインド国民の感情を捉えています。インドのサンプルは、メトロでは社会的経済階級 A、B、C、4 つのゾーン全体では第 1 層~ 3 層の都市人口という大都市人口のサブセットを表しています。

著者
  • Darrell Bricker Global Service Line Leader, Public Affairs, Canada

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