2022年国際女性デー:女性に対する制度的偏見を認識する傾向は女性の方が強い

自分をフェミニストと定義する人の割合は増えているが、特に男性の間ではフェミニズムに対する反対意見が根強い
前回2019年にイプソスが行ったこの調査以降、自らをフェミニストと定義する人の割合は増加しています。2019年は世界の国別平均で33%であったのに対し、今回は40%となっています。これは、37%が同意した2018年調査の水準に戻ったことを意味します。女性のほぼ半数(47%)が自らをフェミニストと定義しているのに対し、男性は3分の1(32%)でした。
この調査結果によると、調査対象者の約半数(世界各国平均47%)が、女性に男性と同等の権利を与えることに関しては十分に進んでいると考えており、2020年の調査結果(48%)から変化がなく、男女平等に関する進展が停滞する恐れがあることがわかりました。男性は女性よりもこの意見に同意する割合が高くなっています(52% vs 43%)。注目すべきは、若い人ほど同意する傾向が強いことで、X世代の47%、ベビーブーマーの42%に対し、Z世代の50%、ミレニアル世代の51%が同意しているのです。
子育てや介護の責任に関する職場での偏見は女性を最も苦しめているようだが、柔軟な働き方に関する政策は女性にも男性にも有益
コロナ禍中に出生率が低下した 国の統計もありますが、この2年間に子どもを産まないという選択をした理由はさまざまです。50歳未満で最も多かったのは「金銭的な不安」(世界平均26%)、次いで「独身であること」(19%)、「コロナウイルスの流行」(14%)でした。そのほか、「子育ての責任」(13%)、「自国の政情不安」(10%)、「子どもが自分のライフスタイルに合わない」(10%)、「学業や資格を取得したい」(10%)などが挙げられました。全年齢で比較すると、男女の差はほとんどなく、例えば「キャリアへの影響」(各6%)は男女とも同じ割合でした。
職場におけるジェンダーについてより広く考えると:
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自国の職場は男女を平等に扱っていると考える人の割合がわずかに増加した(44% vs 2020年41%)。 男性(51%)は女性(35%)よりこの意見に同意する割合が高い。
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キャリアに悪影響を与える可能性のある行動を挙げてもらったところ、男性よりも女性のキャリアに影響を与える可能性が高いと思われたのは、「仕事中に育児が発生する」(35%が女性のキャリアに悪影響 vs 男性9%)、「仕事中に介護などが発生する」(女性28% vs 男性9%)、「仕事よりも家族を優先する」(女性28% vs 男性10%)。女性は男性よりも、女性のキャリアに悪影響を与える可能性があると認識しているようだ。
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調査対象者の4分の1が、育児や介護のために仕事や昇進に応募できなかったり、退職や退職を検討する原因になったと回答し(25%)、男性よりも女性の方が影響を受けやすい(31% vs 19%)ことが分かった。合計すると、18%の女性が、育児や介護のために仕事や昇進に応募できなかったと回答。
このような性別による違いはあるものの、柔軟な働き方の優先順位は男女で非常によく似ています。 ほぼ10人に4人(世界各国平均38%)が「始業・終業時刻の柔軟性」、31%が「勤務地の柔軟性」、4分の1が「週当たりの勤務時間短縮」「勤務日数の短縮」を希望していることがわかりました。
女性に不利な制度的な偏りは認識されているが、制度が男女を平等に扱っていると考える傾向
制度や機関によって女性の扱いが良いか悪いか、あるいは男性と同じくらいか、という質問に対しては、一般的には女性と男性を同等に扱うと考える人が最も多いようです。しかし女性は男性よりも、女性に対する制度的な偏りがあると感じています。
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男性よりも女性は悪く扱われていると答えた人が多い制度・機関は、政府(世界平均32% vs 女性は良く扱われていると答えた人16%)、メディア(29% vs 19%)、警察(27% vs 20%)、裁判所と刑務所(22% vs 18%)。
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ソーシャルメディアは最悪の割合で、女性の扱いが「ほぼ同じ」よりも「悪い」と考える人が多い唯一の機関でした(「女性は悪く扱われている」が37%、「女性は男性と同等に扱われている」が35%、「女性は良く扱われている」が16%)。
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教育機関や医療サービスは、女性の方が男性よりも良く扱われていると考える人が若干多い(それぞれ22%、女性の方が悪く扱われていると考える人はそれぞれ16%、17%)。また、この2つの機関では、男性と女性を同等に扱うと考える人が最も多かった(それぞれ52%、51%)。
女性が直面する問題のトップは「ジェンダーに起因する暴力」。女性は「同一賃金」「仕事と育児/介護の両立」「無給労働」の問題を認識する傾向が強い
人々は、女性/女児が直面する最も重要な問題を考えるとき、ジェンダーに起因する暴力の問題を選択する傾向があります。上位3つの問題は、セクシャルハラスメント(世界国平均29%)、性的暴力(25%)、家庭内虐待(23%)です。身体的暴力は5位(20%)です。
4 位の「同一賃金」は、女性の方が男性よりも「同一賃金」を重要視する傾向が強い(22% vs 17%)。また、仕事と育児/介護の両立(17% vs 12%)、女性の無給労働の多さ(17% vs 8%)も女性の方が男性よりも問題視する傾向がある。
At a country level, equal pay was highlighted as an issue more often in European countries, Canada, the USA and Chile. Middle-income countries tended to be more likely to raise issues relating to sexual harassment, sexual violence and physical violence (Argentina, Brazil, Colombia, India, Malaysia, Mexico, Peru and Turkey). Balancing work and caring responsibilities and a lack of financial/economic independence was ranked highly in Japan, South Korea and Singapore.
国別では、ヨーロッパ諸国、カナダ、アメリカ、チリで、同一賃金がより多く問題として取り上げられました。中所得国では、セクシャルハラスメント、性的暴力、身体的暴力に関する問題がより多く取り上げられる傾向にりました。(アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、インド、マレーシア、メキシコ、ペルー、トルコ)。仕事と育児/介護の両立、経済的自立の欠如は、日本、韓国、シンガポールで上位にランクインしています。
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