世界の2大経済大国間で繰り広げられている貿易戦争は、アメリカと中国が世界情勢に及ぼす影響に対する人々の見方に影響を及ぼしています。
ハリファックス国際安全保障フォーラムの依頼で、世界28カ国の18,500人以上を対象に実施したグローバル・アドバイザー調査によると、調査対象者の半数(52%)が、アメリカは今後10年間に世界情勢に良い影響を与えるだろうと考えています。
昨年からは2ポイントの上昇しましたが、2015年からは13ポイントの低下となっています。
同様に、半数以上(53%)が中国は今後10年間に良い影響を与えるだろうと考えており、この数字は昨年、2015年の結果から変化はありません。
イプソス パブリック・アフェアーズ部門のCEOであるダレル・ブリッカーによると、今回の調査結果は、世界が超大国の役割について意見が分かれていることを示しており、リーダーシップがいかに重要かを浮き彫りにしていると言います。
「トランプ大統領の物議を醸すリーダーシップが世界における米国の地位に影響を与えたことは否定できない。」とブリッカーは述べています。
世界の連携
アメリカが世界に良い影響を及ぼすと回答した対象者が最も多かったのは、インド(85%)、続いてブラジル(79%)、アメリカ(78%)、ペルー(77%)、ポーランド(71%)の順となった。
中国については、メキシコ(82%)、ロシア(82%)、ペルー(81%)、サウジアラビア(78%)、ブラジル(76%)の人々が、アジアの大国が世界に良い影響を及ぼすものとみています。
興味深いことに、新興市場国の人々は先進国の人々よりも、世界の主要経済国が世界情勢に良い影響を与えるだろうと考える傾向があります。アメリカを除けば、日本(12位)はアメリカの影響力を肯定的に評価する先進国のトップであり、スペイン(13位)は中国の影響力を肯定的に評価する先進国のトップです。
ブリッカーは、アメリカ人は現在の世界における自国の地位について確信がなく、トランプ政権の貿易政策が果たした役割は重大だと述べました。
「世界でリーダーシップを発揮したいという米国人の願望は根強く、衰えていない。」とブリッカーは言います。「これを世界に示すのは明らかに彼らの指導者たちの責任だ。」
一方、中国は「政治体制が自分たちを代表している」という項目で、調査対象27カ国でトップでした。
貿易の重要性
政治的影響力はさておき、貿易戦争の余波や関税問題が連日のように報道されるなど、世界貿易が最近ほど注目を集めたことはこれまでにないでしょう。
世界の調査対象者の81%が「自由貿易は自国の経済に有益だ」と回答し、昨年より1ポイント上昇しました。
最もこの傾向が強いのは、メキシコ(93%)、中国(92%)、イギリス(91%)です。このうちメキシコと中国はアメリカと貿易協定の交渉を行っており、イギリスは欧州連合 (EU) からの離脱の最中にあります。
「特定の貿易問題で対立している人々でさえ、一般的には自由貿易の概念を支持し続けている。」とブリッカーは言います。「ほとんどの世界市民にとって、自由貿易の拡大は良いことだと考えられている。」
全体では、58%の人々が「自国の政治システムが腐敗し、時代遅れで、改革ができないエリート集団に牛耳られている」と考えており、この感情が最も顕著なのは南米です。
政治・経済システムからさらに多くを得ようとしているこれらの国々は、世界最大の超大国を見習おうとしています。
アメリカの政治・経済モデルを見習いたいと思う国
- インド (74%)
- サウジアラビア (70%)
- ブラジル (68%)
- ポーランド、アメリカ (64%)
中国の政治・経済モデルを見習いたいと思う国
- 中国 (88%)
- サウジアラビア (85%)
- ペルー (70%)
- メキシコ (66%)
- コロンビア (61%)
国民が自国にどれだけ国際問題に関与してもらいたいかという点では、79%が「たとえ自国が望むことを必ずしも得られなくても、世界の目標に向けて他国と協力すべきだ」と答えています。
これに対し、73%は「困難な経済問題を抱えているので、世界よりも国内に注目する必要がある」と回答しました。
この調査の結果は以下のリンクからご覧いただけます。