核兵器、生物兵器、化学兵器は今や世界が直面する最大の脅威と見なされている
ハリファックス国際安全保障フォーラム(Halifax International Security Forum)のためにイプソスが行った調査では、核、生物、化学兵器による攻撃への懸念がサイバー攻撃を抑え、世界の人々が感じる脅威の第1位となったことがわかりました。
2月下旬のウクライナ侵攻により核攻撃の可能性が再浮上し、世界の人々は明らかに不安を抱いています。
ハリファックス国際安全保障フォーラム Halifax International Security Forum のためにイプソスが行った32,000人以上を対象とした調査によると、世界のどこかで起きる核・生物・化学兵器による攻撃をやや/非常に現実的な脅威と感じている割合は昨年から9ポイント上昇し、グローバルの平均で75%(2021年から+9ポイント)となったことが明らかになりました。これは、北朝鮮が核実験を行い、懸念が2016年の66%から71%に上昇した2017年よりもさらに高い数値です。
今年は核兵器による攻撃の恐怖がトップですが、詐欺やスパイ目的で公共・私的・個人情報システムに組織、国、または何者かがハッキングすることを、やや/非常に現実的だと感じている人の割合も74%(2021年から-1ポイント)ですぐ後ろに迫ってきています。
核、生物、化学兵器による攻撃への懸念が一部の国で急増
核兵器、生物兵器、化学兵器による攻撃が起こることへの懸念は、調査対象国の全てで大多数が現実の脅威として捉えており、特にタイ(84%、今年新規)、トルコ(82%、新規)、日本(+17ポイント、81%)、南アフリカ(+7ポイント、81%)で広がっています。
核、生物、化学兵器による攻撃への懸念が昨年より最も高まった国は、ドイツ(+19ポイント、73%)、フランス(+19ポイント、63%)、日本(+17ポイント、81%)でした。
ハッキングの脅威は依然としてほぼトップレベル
サイバーハッキングは現在、現実の脅威の第1位とはみなされていませんが、何年も主要な懸念事項であり続け、前年比1ポイント減の74%にでした。
そして2015年以降、2020年(新型コロナウイルスのパンデミックが始まった年)と2022年(ロシアがウクライナに侵攻した年)を除き、詐欺やスパイ目的のハッキングが最も広く現実の脅威として認識されるようになっています。
サイバー攻撃を現実の脅威とする人々の割合は、今年調査した国のうち、以下のわずか6カ国においてのみ5ポイント以上減少しています:インド(-9ポイント、 72%)、ハンガリー(-9ポイント、50%)、スウェーデン(-7ポイント、 78%)、コロンビア(-6ポイント、 76%)、オランダ(-6ポイント、64%)、カナダ(-5ポイント、75%)です。
ハッキングは、調査対象国すべてで50%以上の回答者が現実の脅威と考えていますが、2022年には日本(+7ポイント、67%)、オーストラリア(+5ポイント、84%)、フランス(+4ポイント、83%)の3カ国だけが大きく上昇しています。
世界はより危険で、より悪くなっていると感じている
2022年9月23日~10月7日の間にイプソスのグローバルアドバイザーGlobal Advisor オンライン調査プラットフォームで33カ国を対象に行った調査によると、大多数の人(85%)が過去1年間で世界がより危険になったと考えており、これはイプソスが2014年(83%)にこの質問を始めて以来最高の割合であり、2018年の74%から大きく上昇しました。
同時に、最近は悪くなっていることよりも良くなっていることの方が多いと考える人の割合は、2022年には47%(-2ポイント)とわずかに落ち込み、イプソスが初めてこの質問を始めた2017年より4ポイント低くなっています。
自然災害に対する不安はやや低下
懸念が高まる一方で、低下または停滞する懸念もあります。今年は熱波や山火事が大きな話題となりましたが、自国での大規模な自然災害をやや/非常に現実的な脅威と感じる人の割合は、グローバルの平均で昨年から 3 ポイント減の 66%となりました。
その他の脅威に対する懸念は、グローバルレベルでは前年比ではほとんど変化はなく、自国でのテロ攻撃(-1ポイント、平均61%)、自分と家族の安全・安心の侵害(+1ポイント、平均61%)、自国での民族・マイノリティーグループ間の対立(-1ポイント、平均59%)が挙げられました。
疫病に対する懸念が低下し、武力紛争に対する懸念が高まる
人々は、新型コロナウイルスの大流行を過去のものとする準備ができているようで、自国で大規模な健康被害が発生することを心配している人の割合は、前年比10ポイント低下し、2022年にはグローバルの平均で60%となりました。
一方、ウクライナ侵攻の中で、自国と他国との武力衝突をやや/非常に現実的な脅威と捉える人の割合は2022年に上昇(+4ポイント、50%)し、以下の8カ国で10ポイント以上の大幅な上昇となりました:南アフリカ(+10ポイント、56%)、カナダ(+12ポイント、45%)、英国(+15ポイント、63%)、イタリア(+15ポイント、48%)、ベルギー(+16ポイント、47%)、スウェーデン(+18ポイント、34%)、ドイツ(+22ポイント、55%)、日本(+23ポイント、72%)です。
脅威への対処に対する政府および政府機関への信頼の欠如
世界各地で多くの国民が現実の脅威に対して自国の政府が適切なレベルの安全保障と保護を提供し、その機関が効果的に対応できるのかどうか、懐疑的です。
過半数(世界各国の平均で75%)が核・生物・化学兵器による攻撃を現実の脅威と感じている一方で、自国政府がその脅威に効果的に対処できるとやや/非常に確信している人は半数以下(44%)で、その差は31%ポイントにも上ります。一方、2021年に核・生物・化学兵器による攻撃が現実の脅威であると感じている人の割合はグローバルの平均で66%、自国政府が攻撃に効果的に対処できると確信している人の割合は44%(ギャップは22%ポイント)でした。
また、サイバーハッキングの脅威と政府の対応に対する信頼度のギャップは、依然として大きいものの、わずかに縮小しています。2022年、グローバルの平均で74%がハッキングされることを現実の脅威と捉えている一方で、何らかの人物、組織、国が詐欺やスパイ目的で公共、私的、または個人情報システムのいずれかにハッキングした場合の政府の対応能力に信頼を示しているのはわずか46%で、その差は28ポイントです。これに対して、2021年には75%がハッキングを現実の脅威と捉え、45%がサイバーハッキングに対する政府の対応に自信を持っていましたが、その差は30ポイントにも及んでいました。
本調査について
これらは、イプソス・グローバルアドバイザーのオンライン調査プラットフォームを使用した33の市場調査の結果です。 2022年9月23日~10月7日に、米国、カナダ、アイルランド共和国、イスラエル、マレーシア、南アフリカ、トルコの18~74歳、タイの20~74歳、インドネシアとシンガポールの21~74歳、その他の27の市場では16~74歳の成人を対象に、32,507 人のオンライン調査を実施しました。
Table of content
- 核兵器、生物兵器、化学兵器は今や世界が直面する最大の脅威と見なされている
- 世界的な紛争への懸念が高まる
- 世界情勢に良い影響を期待される国は引き続きカナダとドイツが上位
- 世界の民主主義国が主導する新しい国際協定と制度を世界は必要としているーグローバル市民の85%が同意
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