2005年入社 N.I
入社の経緯
企業の意思決定に根拠を与える仕事
大学で工学を学んでいた私は、通信エンジニアリングサービスの会社へ新卒で入社しました。配属は、現場のコントロールやプロジェクトマネジメントを担当する部署。新人ながら上層部の会議にも出席させられ、その資料作りや準備に追われる毎日でした。ある時、その会議に参加していて気付いたことがあります。それは企業の意思決定って意外と「えいや!」で決まる部分も多いんだと。
一方で当時の私は会議資料の体裁を整えるうえで、統計資料等にあたることも多く、その過程でマーケティングリサーチという概念に触れていました。「調査結果を活用すれば、企業は科学的な根拠に基づいて意志決定できるんじゃないかな」なんて漠然と考えるうち、想いは募り、思い切ってマーケティングリサーチの世界に飛び込んでみることにしたのです。
まずは、フィールドワークのオペレーションを希望し、3年間ほど食品や飲料を中心とした、アンケートやCLT会場調査に携わりました。「仕事をするうえで、現場を知らずに指示を出すのはいかにプアか」ということを前職で痛感していたので、「リサーチャーになるうえで、最初は現場から」と考え、このキャリアを選んだのです。
その後、7年間ほど国内の飲料メーカー、食品メーカーのクライアントを担当。思い出深いのは、飲料メーカーのミネラルウォーターの上市に携わったことです。調査の結果、パッケージデザインの優先案が覆り、画期的な案を採用することに。結果、大ヒット商品となったのですが、クライアントに根拠を与え、勇気ある決断を後押しできたことで、私が選んだ道は間違っていなかったと思ったことを覚えています。
現在の仕事とやりがい
「デジタルテクノロジー×リサーチ」の可能性を追求
2015年に、クライアントワークと並行して、デジタルソリューションのチームを立ち上げ、現在は専業でイプソスにおける「デジタルテクノロジー×リサーチ」の可能性の模索と実践を担当しています。
いまだマーケティングリサーチと言えば、定量なら「アンケート用紙」、定性なら「円卓を囲む」というイメージから脱せられていないのが現実です。それをリーディングカンパニーであるイプソス自ら、ソーシャルネットワーク、ビッグデータ、センサー、バイオ/ニューロ等の活用によって、枠を破っていくということに大きな意味があると考えています。
具体的な業務としては、大きく分けて3種類あります。
一つ目は、ソーシャルメディアの分析。MROC(Marketing Research Online)というプラットフォームに対していろいろと調査を行っています。MROCについては、現在イプソスがグローバル全体で導入しているものと、日本独自に導入したもの、二種類のプラットフォームがあり、目的や用途に応じて使い分けています。
二つ目は、主に海外のイプソスの事例を参考に、現実に限りなく近い架空のプロジェクトを立ち上げたり、クライアントに協力してもらってパイロットプロジェクトで実験したりしています。最近では、ライフログに近いかたちの、真にモバイルファーストでリアルタイムなアンケート方式を運用しているところです。
三つ目は、クライアントワークを行っているリサーチャーへのサポートです。クライアントから「こんなテクノロジーを試したい」といった打診があった際などに、デジタルソリューションのスペシャリストとして営業同行や提案を行っています。
こうした取り組みの積み重ねにより、いずれノウハウが蓄積されてくれば、レガシーな手法と最新手法の相乗効果により、きっとブレイクスルーが引き起こせるはずです。
イプソスで働くということ
楽しさからイノベーションは産まれる
前述した業務と並行して、デジタルソリューションをより身近なものとしていくため、オープンセッション形式で、ケーススタディやツールの紹介、ディスカッションなどの場を設け、社内に啓蒙するという活動も行っています。特に業後の時間に開催する際は、お酒を飲み交わしながら、「無責任に発言して良い」という柔らかい空気感の中で、イノベーションを産んでいこうと目論んでいます。
自分自身、新しいものに常に触れていくわけで、好奇心が刺激され、思考が活性化している実感があります。もともと通信業界という当時のテクノロジーの最先端にいたわけですが、結局どこの業界にいてもテクノロジーの影響からは逃れられないんですね。見て見ぬふりはできるかもしれませんが、それでは思考停止。むしろ覚悟を決めて、どっぷりテクノロジーと親しんだ方が絶対に楽しいと思うんです。楽しまなければ新しいアイディアなんて湧いてきませんし。
というわけで、「イプソスのグローバル規模での研究開発の成果をうまく取り込みながら、日本独自のデジタルソリューションを確立する」私はそんなチャレンジングな目標を心地の良いプレッシャーとして受け止めながら、イプソスライフを満喫しています。
応募者へのメッセージ
「遊び」も大事な経験値
学校で社会学や心理学の勉強を通して調査や統計の知識を身につけることもたしかに大事だとは思いますが、何よりリサーチャーは、好奇心の幅が大切だと思っています。たとえば、学生時代に何かしらスポーツを楽しんだことがない人は、スポーツウェアメーカーのクライアントと「生きた会話」はできないでしょう。
「遊び」は言い換えれば、リサーチの対象である消費活動。ランニングでもアウトドアでもバイクでも、機会があればいろいろ手を出すことは決して無駄にはなりません。調査や統計の知識はいくらでもキャッチアップできますから、「学生の時にしかできない遊びをしっかり堪能して欲しい」というのが私からのメッセージです。