世界中でアメリカの評判が低下

過去6ヶ月間で、米国が世界情勢に良い影響を与えると回答した人の割合は、29カ国中26カ国で減少しました。米国の評判が最も著しく低下したのはカナダです。国際舞台で良い役割を果たすという点では、10年にわたる調査シリーズで初めて、中国が米国を上回りました。

著者
  • Chris Jackson Senior Vice President, Public Affairs, US
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イプソスが29カ国を対象に実施した最新の世論調査では、米国をはじめとする多くの国や国際機関に対する意識を調査しました。ドナルド・トランプ大統領の2期目(非連続)の任期が、アメリカの国際的な評判にどのような影響を与えたかについて、最新情報を提供しています。

主な調査結果

"善の力"としての米国への信頼は低下:過去6ヶ月間で、米国が世界情勢に対し総じて肯定的な影響を与えると回答した人の割合は、29カ国中26カ国で減少しました。現在、ほぼ3人に2人(29カ国平均で46%)が米国は肯定的な影響を与えると回答しており、これは大統領選挙前の2024年9月/10月調査で回答した59%から減少しています。

カナダにおける米国の評判は急落:わずか6か月前、米国を肯定的な影響を与えていると見なすカナダ人は52%でしたが、現在ではわずか19%にとどまっています。この33ポイントの低下は、どの国においても過去最大です。トランプ政権の最初の任期中、北の隣国カナダでも米国の評価は低下しましたが、これは2015年にこの質問の調査を開始して以来、カナダにおける最低スコアとなっています。

 

分裂するアメリカ:共和党支持者の85%以上が、自国が世界に肯定的な影響を与えると予測しているのに対し、民主党支持者ではわずか45%にとどまっています。アメリカ人全体では、63%が米国が世界に肯定的な影響を与えると考えていますが、これは過去10年間で最低の数字です。

中国は現在、米国よりもプラスの影響力があると見られている:この質問を追跡調査してきた10年間で、このような状況になったのは初めてです。調査対象となった29カ国全体では、中国が世界情勢に肯定的な影響を与えると回答した人の割合は平均49%で、6ヶ月前より10ポイント増加しました。イスラエルとイランは、依然として国際舞台に肯定的な影響を与える可能性が最も低い国です。しかしながら、イランのスコアは過去6ヶ月間で改善しており、中国、パキスタン、ロシア、サウジアラビアも同様です。

この調査結果について、イプソス米国支社のクリス・ジャクソン上級副社長は次のようにコメントしています。

第二次トランプ政権発足から3ヶ月、そして大統領就任から6ヶ月が経過した今、世界における善の力としてのアメリカの評判は、特にヨーロッパとカナダの伝統的な同盟国の間で深刻な打撃を受けています。これは、ドナルド・トランプ氏が選挙戦で繰り返し掲げてきた、世界中でアメリカへの尊敬を回復するという公約に反するものです。しかし、多くのアメリカ人が内向き志向であることを考えると、MAGA(アメリカにおける多文化共生)の支持基盤が、世界舞台におけるアメリカの地位の低下に気付く可能性は低いでしょう。

本調査について

イプソスは、3月21日から4月4日まで、29カ国で75歳未満の成人22,715人を対象にオンライン調査を実施しました。詳細は下記のレポートをご覧ください。前回の調査は、ハリファックス セキュリティ フォーラムの委託を受け、2024年9月20日から10月4日まで実施されました。

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  • Chris Jackson Senior Vice President, Public Affairs, US

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