従業員エンゲージメント調査とは?目的・設問例・活用方法を徹底解説

年間300万件の調査実績が支える - イプソスの従業員エンゲージメントサーベイで組織改革を加速。従業員エンゲージメント調査とは、社員が仕事や職場に対してどれだけ情熱や主体性を持ち、企業の目標に貢献しようとしているかを測定するものです。近年、少子高齢化や人材の流動化が進む中、従業員の定着や生産性向上において、エンゲージメントの可視化と向上は企業経営における重要課題となっています。本記事では、従業員エンゲージメント調査の概要から、導入目的、従業員満足度調査との違い、設問例、調査結果の活用方法までを詳しく解説します。

このページでわかること:

  1. 従業員エンゲージメント調査(従業員浸透度調査)とは
  2. 従業員エンゲージメント調査をすべき理由 - データが示す4つの効果
  3. 従業員エンゲージメント調査の目的と効果的な活用
  4. 従業員エンゲージメントサーベイの進め方
  5. 従業員エンゲージメントサーベイを成功させるためのポイント
  6. 従業員エンゲージメント調査の事例
  7. 結論:従業員の声を聞くことが組織の成功への鍵

 

 

近年、企業のブランディングや組織文化の構築において、従業員の声を聞くことの重要性が高まっています。特に、以下のような組織や担当者にとって、従業員浸透度調査は非常に有効なツールとなります。

  • 大企業や中堅企業の経営層
  • 人事部門の責任者や担当者
  • 組織開発や人材育成に携わる専門家
  • 社内コミュニケーションの改善を目指す広報・IR部門
  • 多国籍企業や海外展開を検討している企業の経営陣

これらの方々にとって、従業員エンゲージメント調査は組織の現状を把握し、改善への道筋を示す重要な手段となります。従業員は企業活動の土台となる存在であり、企業の目指す姿を顧客や社会に適切に伝えるには、従業員自身がそれをしっかりと理解し、同じ方向を向いていることが不可欠です。

従業員エンゲージメント調査とは、社員が仕事や職場に対してどれだけ情熱や主体性を持ち、企業の目標に貢献しようとしているかを測定するものです。近年、少子高齢化や人材の流動化が進む中、従業員の定着や生産性向上において、エンゲージメントの可視化と向上は企業経営における重要課題となっています。本記事では、従業員エンゲージメント調査の概要から、導入目的、従業員満足度調査との違い、設問例、調査結果の活用方法までを詳しく解説します。 

 

従業員エンゲージメント調査(従業員浸透度調査)とは

従業員エンゲージメント調査

従業員エンゲージメント調査(従業員浸透度調査)は、組織の従業員を対象に、企業理念や戦略の理解度、仕事への満足度、エンゲージメントなどを定期的に測定する調査です。単なる満足度調査にとどまらず、企業ブランディングや組織文化に対する従業員の認知・理解・共感の度合いを多角的に分析することで、組織の現状と課題を明らかにします。

 

従業員満足度調査との違い

しばしば混同されがちですが、従業員エンゲージメント調査と従業員満足度調査は異なる概念です。

項目 

エンゲージメント調査 

満足度調査

測定対象

自発的な貢献意欲や共感度

職場環境や待遇への満足感 

アプローチ

能動的・心理的関与に注目 

条件への受動的反応 

活用目的

モチベーション強化・組織改革 

定着率改善・不満の洗い出し 

 

エンゲージメント調査は、組織全体の活性化やリーダーシップ育成にも直結する調査であり、単なる「不満の有無」にとどまらない点が特徴です。

 

従業員エンゲージメント調査をすべき理由 - データが示す4つの効果

1. 従業員エンゲージメントと企業業績の相関関係

従業員の仕事に対する熱意や愛着(エンゲージメント)が高まると、企業の業績も向上することが多くの研究で証明されています。

具体的な例を挙げると:

  • 従業員の満足度が上がると、顧客満足度も上がります。実際、従業員満足度の変化で顧客満足度の変化の32%を説明できるという結果が出ています。
  • さらに、この顧客満足度の向上が企業の財務業績を押し上げます。顧客満足度の変化で財務業績の変化の24%を説明できるそうです。

つまり、従業員の満足度→顧客の満足度→企業の業績という連鎖があるのです。(出典: Chi and Gursoy, Employee satisfaction, customer satisfaction and financial performance: An empirical examination)。

2. 従業員体験(EX)と顧客体験(CX)の連動性

Forbesの調査によると、経営幹部の70%が、従業員体験の向上が顧客体験の改善につながると考えています。実際、イプソスの調査では、従業員と顧客に同じ価値観やブランドプロミスを提示している企業では、顧客の「期待以下」の体験が12%に抑えられています。一方、従業員と顧客で異なる価値観を掲げる企業では48%に上昇します。

3. フィードバックの重要性

従業員の声を聞き、それに基づいて行動する企業では、従業員のエンゲージメントが30ポイント高く、雇用主としての推奨度も24ポイント高いという結果が出ています(出典: IC Index 2023)。従業員の声を聞き、それにこたえる文化作りは、採用競争力や定着率にも直結します。

4. 従業員体験(EX)の市場規模も急拡大

従業員体験(EX)市場は、2023年の約71億ドルから、2032年には121億ドルに成長すると予測されています(出典: Market Research Future)。多くの企業が従業員の声を重視し、投資を行っていることの表れといえるでしょう。

これらの数字が示すように、従業員の声を聞き、理解を深めることは、企業の持続的な成長にとって極めて重要な要素となっています。

 

従業員エンゲージメント調査の目的と効果的な活用

従業員エンゲージメント調査を実施する最大の目的は、従業員の意識や働きがいの状態を可視化し、組織課題を特定・改善することにあります。調査結果は人事戦略や経営判断の根拠として活用され、企業全体の成長にもつながります。 主な目的は以下の通りです。

  • 組織の現状を定量的に可視化する:従業員が感じている働きがいや帰属意識の実態を把握
  • 部門・職種ごとのエンゲージメント格差を明らかにする:組織内の温度差を浮き彫りに
  • 従業員モチベーション向上の打ち手を明確にする:戦略的人材マネジメントにつなげる
  • 離職リスクの高い従業員層を特定する:早期の対処で人材流出を予防
  • 従業員の声を経営・人事施策に反映させる:ボトムアップ型の組織文化づくりを支援

    実際に、エンゲージメントが高い職場では、生産性・顧客満足度・定着率の向上が多く報告されています。逆にエンゲージメントが低い組織では、早期離職や職場の分断、従業員のサイレントクイッティング(静かな退職)といった課題が顕在化しやすくなるため、継続的かつ戦略的なエンゲージメント調査の実施が不可欠です。 

 

従業員エンゲージメント調査の主な設問例

以下は、一般的な従業員エンゲージメント調査に含まれる設問例です。 

  • 私の仕事にはやりがいがあると感じる
  • この会社で長く働きたいと思う
  • 経営層は信頼できると感じる
  • 上司は私の意見を尊重してくれる
  • 自分の意見が業務に反映されていると感じる
  • 会社のビジョンやミッションに共感している
  • 挑戦を推奨し、それによる失敗を許容してくれる
  • 部門を横断した連携がなされている
     

設問は企業文化や業種に応じてカスタマイズが可能です。イプソスでは、グローバルのベンチマークと比較しやすい設計も可能です。 

従業員エンゲージメントサーベイの進め方

従業員エンゲージメント調査の進め方

イプソスの従業員浸透度調査は、一般的に以下のようなステップで進められます。

1. 調査設計

組織の現状や課題を踏まえ、最適な調査設計を行います。既存の調査がある場合は、それとの整合性も考慮します。

2. 調査実施

オンラインや紙面など、従業員が回答しやすい方法で調査を実施します。多言語対応も可能です。

3. データ分析

統計的手法を用いて調査結果を分析し、組織の強みや課題を明らかにします。

4. レポーティング

経営層向け、人事部門向け、現場マネージャー向けなど、対象に応じた報告書を作成します。

5. アクションプランニング

調査結果に基づいて、具体的な改善アクションを提案します。必要に応じて、ワークショップなどを通じて組織の主要メンバーと一緒にアクションプランを策定します。

6. フォローアップ

改善アクションの効果を測定するため、定期的にフォローアップ調査を実施します。

 

従業員エンゲージメントサーベイを成功させるためのポイント

1. 経営層のコミットメント

調査の実施と結果の活用に対する経営層の強いコミットメントが不可欠です。調査結果を真摯に受け止め、必要な変革を推進する姿勢を示すことで、従業員の信頼を得ることができます。

2. 透明性の確保

調査の目的や進め方、結果の取り扱いについて、従業員に対して明確に説明することが重要です。また、調査結果やそれに基づくアクションプランについても、可能な限り共有することで、従業員の参加意識を高めることができます。

3. 迅速なフィードバックとアクション

調査結果を速やかに分析し、具体的なアクションにつなげることが重要です。従業員の声に耳を傾け、実際に変化を起こしていることを示すことで、次回の調査への参加意欲も高まります。

4. 継続的な実施

一回限りの調査ではなく、定期的に調査を実施することで、組織の変化を経時的に把握することができます。また、短い間隔でのパルス調査と、詳細な年次調査を組み合わせるなど、柔軟な調査設計も効果的です。

5. 他のデータソースとの統合

従業員調査の結果を、業績データやカスタマーフィードバックなど、他のデータソースと統合して分析することで、より深い洞察を得ることができます。

 

従業員エンゲージメント調査の事例

 

企業パーパスの社内浸透:自動車業界

調査目的

某グローバル企業が事業戦略の転換を見据えて、目指すべき姿を体現した新しいフィロソフィーを導入。早期定着に向けて社員浸透度の定期チェックが必要となりました。

実施した調査

すべての国・地域の従業員が対象。回答意欲を高めるため、すべての従業員が母国語で回答できるよう多言語対応にてアンケートを準備。工場勤務者など一部メールアドレスを持たない方向けにはQRコードを配布し、全員が回答できるようにしました。

調査結果の活用

グローバル全体としては年々浸透が進むが、特定の地域の伸び悩みが可視化されました。組織としての変化が顕著な地域での取り組みを他地域に共有することで浸透を促進しました。

 

バックオフィス環境への投資:エンターテインメント施設 

調査目的

スタッフのリテンション強化に向けて、休憩時や社内ミーティング時により快適に過ごせるように継続的な設備のリニューアル投資を計画。投資の優先順位付け・投資の効果を確認するためのスタッフフィードバックが調査実施の目的。 

実施した調査

現場部門を対象に、アルバイトを含めてすべてのスタッフを対象に設備投資に対するフィードバックを取得。回答用QRコードが記載されたシートをスタッフに配布し、スマートフォンで各自回答ができるようにしました。 

調査結果の活用

初回調査で特に不満が多かった部分について優先的に改修を実施、その後の定点観測では効果の見られたエリアやその内容を確認しました。改修済エリアでの不満については混雑緩和など運用方法での工夫で対処できるところを整理。新たな優先改修ポイントも明らかにし、投資計画を策定しました。 

 

結論:従業員の声を聞くことが組織の成功への鍵

企業の持続的な成功は、従業員の理解と共感なくしては実現できません。従業員浸透度調査は、組織の現状を多角的に把握し、改善への道筋を示す重要なツールです。

イプソスの従業員浸透度調査を活用することで、以下のメリットが得られます。

  1. グローバル規模での一貫性ある調査実施
  2. 豊富な比較データに基づく客観的な分析
  3. 専門家による実践的な改善提案
  4. 最新技術を活用した深い洞察の獲得

急速に変化する経営環境において、従業員の声に耳を傾けることの重要性は増しています。従業員浸透度調査から得られた洞察を戦略に反映させることで、企業は競争優位性を獲得できるでしょう。

イプソスは、90カ国以上でのグローバル展開力と年間300万件を超える調査実績を持ち、皆様の組織変革を強力にサポートいたします。従業員の声を活かし、組織の力を最大限に引き出すための第一歩を、ぜひイプソスと共に踏み出しましょう。従業員浸透度調査について、より詳しい情報をご希望の方や、お客様の組織に最適な調査設計についてご相談されたい方は、ぜひお問い合わせください。イプソスの専門家が、皆様のニーズに合わせた最適なソリューションをご提案いたします。

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