世界の52%が「自分の住んでいる地域でのサイクリングは危険」

調査結果では、自転車が二酸化炭素排出量と交通量の削減に重要な役割を果たすという点で世界的なコンセンサスが得られ、新しいインフラ計画では自転車優先の方針が広く支持されていることが明らかになりました。

イプソスの新しい調査によると、世界28カ国の調査対象者の多くが、サイクリングは二酸化炭素排出量の削減(平均86%)と交通量の減少(80%)において重要な役割を果たすと考えていることがわかりました。しかし、半数(52%)は、自分の住んでいる地域でのサイクリングは危険すぎると回答しています。用事や通勤のために自転車を利用する割合は、中国、日本、オランダなど、自転車が安全な交通手段であると広く認識されている国々で最も高くなっています。また、ほとんどの国で、新しいインフラ計画において、自動車よりも自転車を優先させることに賛成する市民が過半数を占めています。

世界的に見ると、近所の2km程度の移動に自転車を使う人(平均で14%)は、徒歩(37%)や車(25%)よりも少ないようです。しかし、オランダ(45%)と中国(33%)では、自転車が近所の短距離移動に最もよく使われる交通手段であり、日本(27%)、インド(21%)、ドイツ(21%)、ベルギー(20%)でも広く使われています。

オランダでは30%、中国とインドでは22%、スウェーデンでは20%もの成人が、通勤や通学に自転車を使っていると回答しています。一方、カナダでは4%、南アフリカ、米国、英国では5%にとどまっています。

世界平均では、通勤のため(12%)よりも、運動のため(28%)の自転車利用の方が2倍多くなっています。運動のための自転車利用が最も盛んなのはポーランドで、61%がそう回答しています。

28カ国全体では、成人のほぼ3分の2(63%)が自転車の乗り方を知っていると回答、42%が所有していると回答しています。オランダ、ポーランド、スウェーデンの3カ国は、自転車保有率が最も高いです。公共自転車シェアリングシステムの利用率は国ごとに平均8%ですが、中国(38%)、インド(19%)、韓国(15%)、トルコ(15%)ではかなり高くなっています。

自転車利用者の割合は、人口層間での大きな差はありません。男性、若年層、都市部在住者、富裕層、高学歴者では、そうでない人に比べ、毎週自転車に乗る人の割合がわずかに高いだけです。しかし、ビジネス上の意思決定者だけは例外で、全体の35%の成人が週に一度は自転車に乗ると答えているのに対し、ビジネス上の意思決定者の55%が平均して週に一度は自転車に乗ると回答しています。

これらは、2022年3月25日~4月8日、イプソスのオンライン調査プラットフォーム「Global Advisor」で75歳以下の成人20,057人を対象に実施した調査結果の一部です。

解決策としてのサイクリング

すべての国で、自転車が二酸化炭素排出量の削減(ペルーと中国の94%からドイツの77%まで)と交通量の減少(ペルーの94%から米国の62%まで)に重要な役割を果たすという意見に大多数が同意しています。

さらに、自転車に対する好感度は、他のすべての交通手段よりも高く、世界平均で82%が自転車に対して好感を持ち、自動車には74%、e-bikeはに73%、オートバイまたはモペットには59%、スタンドアップスクーターには53%、そしてトラックには43%の好感度となっています。

自動車より自転車が好きな国は、トルコ、オランダ、ハンガリー、チリ、アルゼンチン、ベルギー、コロンビア、ペルー(いずれも15%ポイント以上差)です。自動車に対する好感度が自転車よりも顕著に高いのは、28カ国中4カ国だけで、オーストラリア、米国、英国、カナダです。

自転車はすべての国で好意的に捉えられており(ポーランド93%から英国64%まで)、e-bikeも同様です(インド84%から英国57%まで)。一方、その他の乗り物については、スタンドアップスクーターは日本では17%(vs. インド79%)、オートバイや モペットは韓国で23%(vs. インド85%、マレーシア79%)、トラックはトルコ24%、中国28%(vs. 米国70%)と、国によって好意的でないものもあるようです。

自転車を優先する

その中で、「自分の住んでいる地域の新しい道路や交通インフラ計画は、自動車よりも自転車を優先させるべきだ」という意見には、賛成が反対の2倍(国別平均で64% vs. 36%)ありました。調査対象となったすべての新興国では、平均より高い支持を得ています。賛成が50%を下回ったのは、カナダ、米国、オーストラリア、日本、英国のみで、ベルギーとノルウェーでは意見が二分されています。

中南米、南ヨーロッパ、マレーシア、サウジアラビアなど、「自転車で移動するのは危険だ」と考える人が多い国では、自転車優先のインフラ整備が進んでいます。


本調査について

これは、2022年3月25日~4月8日、ノルウェーの16歳~99歳、米国、カナダ、マレーシア、南アフリカ、トルコの18歳~74歳、その他22カ国の16歳~74歳の成人20,057人を対象に、イプソスのグローバルアドバイザー オンライン調査プラットフォームで行った28カ国調査の結果です。

各国のサンプルは、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国(本土)、フランス、ドイツ、英国、イタリア、日本、スペイン、米国で約1000人、ベルギー、チリ、コロンビア、ハンガリー、インド、マレーシア、メキシコ、ノルウェー、オランダ、ペルー、ポーランド、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、スウェーデン、トルコで約500人となっています。

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