世界の約10人に3人が「何らかの形で起業したことがある」

起業家精神とは、多くの健全な経済活動の原動力である中小企業の産みの親です。中小企業は、パンデミックによる活動停止の影響を受け、現在はようやく回復しつつあるところです。では、起業家精神は今どうなっているのでしょうか。イプソスの26カ国を対象とした新しい調査によると、起業活動が健在な国もあれば、そうでない国もあるようです。

世界でおよそ10人に3人(31%)が「何らかの形で起業したことがある」と回答し、ほぼ同数(29%)が「近い将来起業したい」と考えていることがわかりました。  

しかし、起業家の活動や願望は、国によって大きく異なります。例えば:

  • ペルー(54%)、コロンビア(54%)、メキシコ(53%)は、過去に起業したことがあると答えた人の割合が高く、韓国(18%)、フランス(16%)、ベルギー(14%)、日本(9%)は、低い。

  • コロンビア(58%)、メキシコ(55%)、南アフリカ(54%)では、将来起業する可能性があると答えた人の割合が高く、スウェーデン(13%)、ベルギー(13%)、オランダ(11%)、日本(8%)では、低い。

政府の支援がカギとなる

インフレ、金利、そして政府による支援が新規事業の成功にどの程度貢献するかを尋ねたところ、政府による支援が1位(56%)、金利が2位(50%)、インフレが3位(40%)となっています。しかし、28カ国を平均すると、政府が自国において起業家精神を促進するために良い仕事をしていると答えたのは、わずか30%にすぎません。  

民間企業と銀行の評価も芳しくありません。 民間企業(31%)と銀行(31%)が自国での起業家精神を育むために良い仕事をしていると答えた人は少数派です。

従来とは異なるグループの活動が活発化

これまで起業家精神は、男性や社会経済的地位の高い人々のものであったかもしれませんが、もはやそうではありません。  

  • 女性(+5%)、Z世代/ミレニアル世代(+18%)、低所得者(+7%)の人々は、起業したとの報告が2018年から最も増えている。  

  • 2018年以降、起業意欲が最も高まっているのは、女性、Z世代/ミレニアル世代、低学歴者、低・中所得者である。 

資金調達が人々の足かせに

起業を阻む主な要因を尋ねたところ、「資金」がトップとなりました(41%)。2位以下は、「興味がない」(19%)、「経済状況」(19%)、「知識がない」(17%)と続いています。

事業起業家精神と対立する社会起業家精神

起業家精神は、そのほとんどが伝統的な方法であるビジネスの創造(事業起業家精神)として現れています。

しかし、それは社会起業家精神(利益団体を作ったことがある者として)において、時には事業創造と結びついて、あるいはそうでない形で顕在化しつつあるのです。世界的に見ても、10人に1人以上(14%)が過去に利益団体を立ち上げたことがあり、19%が今後2年以内に立ち上げる可能性があると答えています。

また、社会起業家精神は事業起業家精神よりも新しい傾向であり、過去2年間に利益団体を設立した人の割合が高くなっています(76%対52%)。

このことは、現在起業している人、また起業する可能性のある人がどのような人であるかということを反映しています。彼らは、起業していない人に比べて、一般的に社会参加や活動(ニュースを見る、時間を割き寄付をする等)をしている可能性が非常に高いのです。

女性の処遇はフェアではない

女性が起業する際、公平に扱われていると考えているのは、世界の37%ほどに止まります。これは国によって大きく異なり、サウジアラビア(72%)、中国(67%)、インド(60%)、マレーシア(55%)では、女性が公平に扱われていると考える人が過半数を占めています。イタリア(26%)、フランス(26%)、ブラジル(25%)、韓国(24%)、日本(14%)では、この考え方が低くなっています。

ボトムライン

イプソスの起業家精神に関する調査によると、2022年以降に向けて、未開発の起業活動の可能性は非常に高いことが分かっています。

そしてこの可能性を引き出す鍵は、女性や低学歴者、低所得者といった従来は恵まれなかったグループが、男性などの従来のグループに追いついて、起業を志すようになっていることを認識することです。

また、起業家精神を発揮するためには、事業起業家精神はしばしば社会起業家精神と密接に関係していることを認識することが重要です。


本調査について

これらは、2022年5月27日~6月7日に、米国、カナダ、マレーシア、南アフリカ、トルコの18~74歳、その他23カ国の16~74歳の成人21,515人を対象に、イプソスのグローバルアドバイザーオンライン調査プラットフォームで実施した28カ国調査の結果です。

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