世界の68%が、サステナブルな技術の採用を奨励する新たな政策を受け入れたいと考えている
34カ国、22,500人以上を対象にした新しい調査では、気候変動対策に取り組む政策に対する市民の支持について、課税や選択肢の減少よりも、インセンティブやディスカウントなどの誘導策を適用するものが人気であることが浮き彫りになっています。
主な調査結果
- 気候変動に対する意識の高まりを反映して、34カ国のほぼ10人に7人(68%)が、サステナブルな技術の採用を奨励する新しい政策を受け入れたいと考えていることが明らかになった。
- モビリティの分野では、歩行者用と自転車用により多くの道路スペースを与える政策が調査対象者の半数(49%)から支持されているが、インドネシアでは4分の3(75%)の市民が、自動車用のスペースを犠牲にしても支持すると回答している。ペルー(71%)、メキシコ(70%)、タイ(67%)でも高い支持率を示している。カナダと米国(34%)、オーストラリア(32%)、日本(28%)では、支持率がかなり低くなっている。
- 気候変動対策として特定の食品に課税することは人気がない。世界的に見ても、赤身の肉や乳製品に高い税金をかけることには10人に4人(40%)が反対しており、この政策を支持すると答えた人は3人に1人(29%)に過ぎない。
- 気候変動に関する教育が誰の責任であるかについては、政府機関や 省庁、閣僚にその責任があるとする回答が 59%を占めた。しかし、中国、コロンビア、ペルー、サウジアラビア、カナダ、フランス、英国、スペインなど、個々の国を見ると、その意見には顕著な違いがある。
政策支援は地域や主題によって異なる
最も人気のある政策は、調査対象34カ国のほぼ10人に7人(68%)が支持すると答えた、政府が環境にやさしい技術(ソーラーパネル、電気自動車など)を安くするための補助金を支出することでした。

また、半数以上(グローバルの平均で59%)が、環境にやさしい製品をより安く(逆に環境に有害な製品をより高く)するような製品価格の変更を支持すると回答しています。
- 最も支持率が高い国は、インドネシア(74%)、メキシコ(72%)、コロンビアとチリ(いずれも71%)。
環境に配慮した金融商品・サービスへの投資に対するインセンティブの付与(年金などによる)も、世界的に強い支持を得ています(59%)。
- しかしこの政策は、ヨーロッパのいくつかの国、米国(48%)、カナダ(48%)ではあまり人気がない。
自動車よりも歩行者と自転車に多くの道路スペースを優先して与えることは、世界で4番目に人気のある政策です(49%)。
世界の約5人に2人が、より環境負荷の高い移動に課税する(39%)、すべての食品店でビーガンメニューの提供を義務付ける(37%)、都市や町の中心部からガソリン/ガス/ディーゼルエンジン車を禁止して車両禁止区域を設ける(37%)という政策を支持すると回答しています。
- これらの政策への反対は顕著に増加し、全世界で4分の1から3分の1の市民が反対すると回答(それぞれ30%、24%、31%)。
赤身の肉や乳製品への増税(40%)、暖房や調理用のガスや石油などの非再生可能エネルギーへの増税(42%)については、世界の5人に2人が反対し、どちらの政策も支持すると答えたのは3分の1以下(29%)でした。
人々への教育は誰の責任か?
二酸化炭素排出量を減らすために人々が行動を起こそうとしないのは、意志や意思の欠如よりも理解の欠如に起因することが多い(すなわち、信じることと真実のギャップbelieve-true gap)ようで、教育の必要性を示しています。
気候変動に関する市民への教育責任は、政府省庁や大臣・公職者にある(59%)というのが、グローバルでの顕著な共通認識です。 10人に4人強が地方自治体の責任だと考えており、3分の1強(34%)がマスメディアの責任だと考えています。次に、科学者(27%)、学校(24%)、企業(20%)、環境保護団体(19%)の順となっています。
国による違い
- 中国(68%)とコロンビア(53%)では、気候変動に関する市民への教育について、最も責任が重いのは地方政府であると考えられている(世界平均は43%)。
- ペルー(58%)とサウジアラビア(43%)では、気候変動に関する教育の推進に最も責任があるのはメディアであると考えられている(世界平均は34%)。
- 科学者は、世界平均に基づく気候変動教育への責任という点では4位(27%)だが、カナダ(40%)、フランス(35%)、イギリス(35%)では2位である。
- スペインは、世界平均が24%であるのに対し、市民が学校を気候変動教育の担い手として重視している(37%)ことが際立っている。

本調査について
これらは、イプソス・グローバルアドバイザーのオンライン調査プラットフォームを使用した34カ国の調査結果です。 2022年8月26日~9月9日に、米国、カナダ、アイルランド共和国、イスラエル、マレーシア、南アフリカ、トルコの18~74歳、タイの20~74歳、インドネシアとシンガポールの21~74歳、その他の国では16~74歳の成人を対象に、22,528人のオンライン調査を実施しました。