人々は信頼できるニュースを求めているが、誤った情報に弱い

イプソスが実施したTrust Projectの調査では、人々はニュースにお金を払う意欲はあまりなく、情報源の信頼性に関する自分自身の判断力を他人のそれよりも信頼していることがわかりました。

イプソスと Trust Projectによるメディアに関する信頼の未来についてレポートTrust Misplaced?によると、世界の調査対象国の10人に8人が、信頼できる情報源からのニュースかどうかを確認しています。このレポートは、イプソスが29か国で実施したグローバルアドバイザー(Global Advisor)調査に基づいています。調査対象者の49%は、読んだり、見たり、聞いたりするニュースが信頼できる情報源からのものであることを常に確認していると回答し、33%は時折確認していると回答しました。64%は、信頼できるニュースに簡単にアクセスできると回答しています。

しかし、こうした明るい兆しの背景には、偽情報の拡散が続く可能性があります。世界的には、調査対象者の67%が無料でアクセスできるニュースしか読まないと答えている一方で、信頼できる情報源からのニュースにお金を払えると答えたのはわずか29%、払ってもよいと答えたのは27%にとどまっています。多くの人々は「フェイクニュース」を発見する能力には自信を持っていますが (58%)、ほかの人の能力は疑っています (30%) 。他国が自国の人々を中傷の標的にしていると考えているのは、全対象者の約半数 (46%) で、アメリカ では58%、イギリスは54%です。

その他の主な調査結果

信頼できるニュースの情報源を少なくとも時折は探す人の割合には国によって差があり、ペルーでは94%、コロンビア、チリ、南アフリカでは92%にものぼり、日本では65%、韓国では66%と低い。

信頼するニュースを容易に入手できるという点では、どの国も過半数が同意しており、反対しているのは5人に1人以下。唯一の例外は日本(25%が同意、23%が反対、53%がどちらとも言えない)である。

世界的に見ると、ほとんどの調査対象者は、さまざまなメディアから頻繁にニュースを得ている。ほぼ4分の3が、週に少なくとも3回はテレビ (74%) とソーシャルメディア (72%) から、10人に6人はニュースウェブサイト (62%) とニュースアプリ (61%) から、10人い4人はラジオ (42%) から、そして4人に1人は印刷媒体と雑誌 (24%) からニュースを得ていると回答している。

信頼できる情報源からのニュースに対する支払いについては、「支払うことができる」と回答した対象者の割合が国によって大きく異なり、インドでは57%、中国では48%、オランダでは43%だが、日本では13%、ロシアでは15%、スペインとフランスでは18%と低い。「支払う意思がある」についても非常に似たパターンを示している。

フェイクニュースと本物を見分ける自信については、中南米、中東、英語圏で最も高く、日本、韓国、ヨーロッパ大陸、ロシアで最も低い。

世界の調査対象国全体を見ると、「自分の」本当のニュースを見分ける能力に自信を持っている人の割合は58%で、「自分の国の平均的な人の」本当のニュースを見分ける能力に自信を持っている人の割合(30%)よりも28ポイント高い。イギリス、ハンガリー、アメリカでは差が40ポイント超えており、サウジアラビア、中国、日本ではその差が10ポイントに満たない。

ポピュリストや移民排斥主義者の考えに賛成する人は、情報の欠落にさらされやすい傾向がある:

  • 世界的には、「この国の専門家は、私のような人々の人生を理解していない」という意見に同意する人の割合は、「無料でアクセスできるニュースだけを読む」に反対する人の割合よりも多い(72% vs. 62%)。
  • 「私たちは、ルールを破ることをいとわない強いリーダーを必要とする」という意見や「移民を止めた方が自国が強くなる」という意見に賛成する人は、「インターネットでしか知らない人が共有しているニュースを信頼する」(それぞれ10ポイントと11ポイント)、「平均的な人が本当のニュースと偽のニュースを区別できると確信する」(それぞれ10ポイントと11ポイント)という意見に反対する傾向がある。

 

「真実は急速に主観的で個人的な概念になりつつあり、そのほとんどは感情によって支配されている。私たちは今、真実とは対照的に自分たちの真実を話す。少なくとも、最近多くのコメンテーターがそれを報告し、嘆いているのを目にしている」 と、パブリック・アフェアーズのグローバル・サービス・ライン・リーダーであるDarrell Bricker博士はレポートに書いています。「しかし、これは私たちの調査で見られるものではない。私たちが真実だと考えることを広く受け入れた上で、多くの問題について国民の合意が形成され続けている。」

「真実と信頼性は、危険にさらされながらも、明らかに世界中で求められている。」とTrust ProjectのCEO兼創設者であるSally Lehrman氏は述べた。「このデータは、報道機関が自らの仕事の背後にある価値観と誠実さを強調し、金を払ってもいいと考える多くの読者を獲得するための行動を呼びかけている。」


これは、メディアにおける真実と信頼の未来に影響を与える4つの主要な要因(人々がニュースを入手する方法と場所に影響を与える技術的変化、質の高いニュースへのアクセスと手頃な価格、進行中の偽情報キャンペーン、そして移民排斥主義とポピュリストの感情の程度)を探るために、イプソスとTrust Projectが共同で実施した調査の結果です。。Trust Projectのニュースパートナーは、調査トピックを作成するための各分野のシナリオの作成を支援しました。
このレポートに含まれる調査結果は、イプソスのグローバルアドバイザープラットフォームで実施した2つの調査から得られたものです。第1回の主要調査は2020年5月22~6月5日に世界27カ国の18,998人(米国、カナダ、マレーシア、南アフリカ、トルコの5か国では18~74歳、アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、チリ、中国 (本土) 、フランス、ドイツ、イギリス、ハンガリー、インド、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、ペルー、ポーランド、ロシア、サウジアラビア、韓国、スペイン、スウェーデンの22カ国では16~74歳)を対象として実施されました。第2回調査(社会的・市民的関与に関する質問)は2020年6月19日~7月3日、同27カ国とコロンビア(16~74歳)、イスラエル(18~74歳)の20,047人を対象として実施されました。

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