インフレについて世界中の人々が政府の政策を非難している

36カ国の人々は、生活費の(一部の)責任を政治家のせいにしていますが、もっと大きな要因があることも理解しています。

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消費者は窮地に立たされており、その痛みを政府の政策にぶつけています。

しかしほとんどの人は、一国の政策の選択ではどうにもならない別の力が働いていることも理解しているようです。

2022年、ガソリンから食料品に至るまで、あらゆるものの価格が高騰しました。これを受けて、世界中の中央銀行が何度も何度も金利上昇の引き金を引きました。一部の政府は、物価高の負担を軽減するために減税や物価抑制策を打ち出していますが、多くの人々が深刻な生活苦に陥っています。

責任のなすり合い

では、生活費の危機が続いているのは、誰の(何の)せいなのでしょうか?

人々は、それが複雑であることを理解しています。

イプソス グローバルインフレモニターのために10月21日~11月14日に実施したグローバルアドバイザーGlobal Advisorオンライン調査では、世界平均でほぼ4人に3人(74%)が「世界経済の状況」、次いで「ウクライナ侵攻」(70%)がインフレの原因になっていると考えていることがわかりました。

また、36カ国の平均で3人に2人強(68%)が、自国の金利水準と政府の政策の両方が、生活費の上昇に相当程度/大きく関与していると回答しています。

その他、50%以上の人がインフレの要因だと考えているものは、「企業が過剰な利益を上げている(62%)」、「パンデミック(61%)」、「労働者が賃上げを要求している(51%)」、「移民(50%)」などです。

不安定なリーダーシップ

英国にとって、今年はあまりいい年ではありませんでした。

新型コロナウイルスの流行やウクライナ侵攻などの世界的な問題に加え、ブレグジット(英国のEU離脱)やLiz Trussの首相就任が歴史的に短命であったことなどが、インフレ率をさらに押し上げ(10月には11.1%に)、消費者信頼感を押し下げたと思われます。

そのため、英国の大多数の人(84%)が、韓国(82%)とタイ(81%)の回答者に続いて、政府の政策が自国の生活費上昇の原因になっていると答えたことは、驚くには値しないでしょう。

英国と同様、韓国も2022年は紆余曲折がありました。

2006年と2007/08年に国務総理を務めた韓 悳洙(ハン・ドクス) が、今年5月に首相に返り咲きました。韓国のインフレ率は7月には6.4%に達し、11月には5.0%に低下しましたが、「韓首相は最近の韓国では政治スキャンダルなど様々な理由で非常に不人気だ」と、イプソス韓国・パブリックアフェアーズ部門のサービスラインリーダーであるChanbok Leeは述べています。

タイの首相は長年にわたりスキャンダルに巻き込まれてきました。イプソス タイのマネージングディレクター、Usana Chantarklumは、8月に7.86%に達した後、11月には5.55%まで下がったインフレについて、81%のタイ人が「政府の不透明な方向性や生活費上昇に対応する対策が原因である」と、国の政策に責任の一端を求めるかもしれないと指摘しました。 

厳しい見通し

ここ数カ月、タイや他の国々ではインフレがやや緩和されたものの、物価は依然として歴史的な高水準にあります。2023年には物価が再び上昇すると予測する専門家もいれば、世界的な不況の到来を警告する専門家もいます。

誰が(あるいは何が)悪いのかにかかわらず、消費者は経済の痛手がすぐに収まるとは思っていません。

  • 世界平均で約3人に2人が、今後の1年(2022年11月~2023年11月)でインフレ(69%)、金利(63%)、失業率(61%)のすべてが少し/大きく上昇すると考えていることがわかった。
  • 一方、2023年11月までに生活水準(28%)と可処分所得(27%)が上がると予想した人は、世界平均で約4人に1人にとどまった。
  • また、インフレ率以上の賃上げがあると考える人は36カ国平均でわずか12%、2022年11月~2023年11月に全く賃上げがないと予測する人は38%だった。

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