重要な問題に対する私たちの誤解:犯罪、暴力、セックス、気候変動、経済など

イプソスの最新「認識の危険性調査」では、37ヵ国の人々が、どのテーマにおいて自分たちの社会について正しい理解をしていて、どのテーマにおいて誤った認識をしているかを明らかにします。今年で5年目になるこの調査は、私たちがいかに特定の考え方に縛られていて、いかにその理解や誤解に私たちの環境が影響を及ぼしているかに注目しています。

犯罪

  • 世界のいくつかの国では、人々は、ナイフや銃を用いた犯罪の規模について、誤った認識をしています。「銃器」「刃物などの鋭利物」「その他の身体的暴力」のうち、どれが最も大きな殺害要因かという質問に対して、13カ国は過半数が正しく推測していますが、その他の国では認識と実際の統計にズレがあります。
  • 例えばイギリスでは、71%の人々が最大の死因は「ナイフ」ではないかと考えています。実際には、個人間暴力における死因のうち、ナイフによる死亡はわずか25%しか占めていません。イギリスにおけるナイフの推測値は、調査対象37カ国の中で最も高い数字となっています。日本でも同様に「ナイフ」の占める割合が過大評価されています(推測は41%であるが実際は23%)。その他の国、特にデンマーク、ドイツ、イタリア、ポーランド、ハンガリーなどのヨーロッパ諸国や、韓国、シンガポール、中国などのアジア諸国などでも、「ナイフ」の占める割合が過大評価されています。
  • その他の国、特に南アフリカ、オランダ、スウェーデンなどの国では、「銃」による死亡の割合が過大評価されています(南アフリカでは、実際には最大の死因は「ナイフ」)。加えて、ある特定の種類の暴力がその他の暴力よりもはるかに多い割合を占めているにも関わらず、かなり多くの人々がその事実に気づいていない国もあります。例えば米国では、個人間暴力による死亡のうち約70%が「銃」を原因としていますが、「銃」が最大の死因であるという事実を正しく推測できたのは59%しかいませんでした。コロンビアでも、同様のことが見られました。
  • ほとんどの国で、刑務所の混み具合は実際より高く推測されています。平均して、刑務所は最大収容人数の30%越え(130%)と推測されていますが、実際は最大収容人数の9%超え(109%)です。とはいえ、刑務所が混雑している国ほど高い推測値を出す傾向があります。

セクシャルハラスメント

  • データが存在する13カ国全ての国において、自国の女性のセクシャルハラスメント経験数が、かなり過小評価されています。平均して、女性の39%はハラスメント経験があると推測されていますが、実際は平均60%の女性が経験しています。デンマーク、オランダ、フランス、そしてアメリカは、自国のセクシャルハラスメントの程度を過小評価する傾向がみられます。
  • 各国で、男性は女性よりもセクシャルハラスメントを低く見積もる傾向があります。 平均では、男性は自国女性の36%がセクシュアルハラスメントを経験したことがあると推測しますが、女性は44%です(これでもなお、過小評価ではあります)。

気候変動

  • 過去18年間のうち17年が、史上最も暑い1年となっています。 しかし、調査を実施した全ての国で、過去18年間、地球温暖化が過小評価されています。調査全体の平均推測は9年です。
  • 過半数の国で、自国の再生可能エネルギーの使用量が過大評価されています。平均推測は26%ですが、実際は19%です。マレーシア、サウジアラビア、中国、シンガポールは、推測が最も外れている国々です。反対に、スウェーデンやモンテネグロなど、再生可能エネルギーの進歩を過小評価している国もあります。

セックス

  • 調査実施国のうち19カ国で、18-29歳の男女がどのくらいの頻度でセックスをしていると思うか推測してもらっていますが、そのほとんどは大きく外れています。 平均して、若い女性は4週間に20回、男性は少し多めの22回セックスをしていると推測されています。実際に18-29歳の男女に調査で質問したところ、女性は4週間に5回、男性は6回セックスしていると回答しています。
  • メキシコ、インド、ブラジル、イタリア、コロンビアでは特に、若者のセックスの頻度の推測が外れています。 スウェーデン、イギリス、トルコでは、もう少し現実的な低めの値となっています。
  • 調査全体で推測の男女差はほとんど見られません。さらに言えば、若者自身、自分たちの仲間のセックスの頻度の推測において過大評価する傾向は、年配者よりやや小さい程度です(平均して、30歳未満は自分以外の18-29歳の男女は月に20回セックスしていると推測するのに対し、30歳以上は 21回)。

予防接種

  • 調査が行われた全ての国で、自国の幼児の予防接種の普及レベルが過小評価されています。平均推測73%ですが、世界保健機関(WHO)の報告によると実際は94%です。 最も推測が外れた国はインド、メキシコ、中国です。

経済

  • 調査対象となった全ての国で、自国における求職中の失業者の割合が、かなり過大に推測されています。 調査全体の平均推測は実際の数字の5倍(34%)です(実際は約7%)。
  • 人々は、他国に比べ、自国の経済規模を過小評価する傾向があります。大半の人は、国のGDPランキングを実際よりも低く評価します。 これは、アルゼンチン、南アフリカ、ルーマニアなどの新興国において、特に当てはまります。

人口の割合

  • 各国で、高齢者の人口増加率がかなり過大評価されています。各国平均によると、2050年には65歳以上が人口に占める割合は54%と推測されていますが、実際の見積もりは半分以下(25%)です。
  • 大多数の国で、移民の割合が大いに過大評価されています。 これは、これまでの調査でも同様です。 移民の割合に関する37カ国の平均推測は28%ですが、実際の割合はその半分未満(12%)です。
  • 調査に参加したほぼ全ての国で、イスラム教徒の人口割合も非常に過大評価されています。平均推測は実際の数字の2倍以上でした(平均推測は20%であるが実際は8%)。

 

日本は、どの程度事実を正確に認識しているのでしょうか。事実を推測してもらった質問の中から重要性の高い7つの質問を基に、イプソスでは誤解指数(Misperception Index)を算出し37カ国を比較しました。

今回、誤解指数のトップ(最も大きく誤解している国)はタイ、次いでメキシコ、トルコが続きます。日本は37か国中16位です。

香港は最も正確に事実を把握している国で、ニュージーランドが2位、スウェーデンが3位です。

 

誤解指数(Misperception Index)

Perils of Perceptions 2018
 
Perils of Perceptions 2018
 
これは、イプソスMORIによる2018年Perils of Perception 調査の調査結果です。9月28日~10月16日に世界37カ国でイプソスオンラインパネルを使用して28,115件のアンケート調査を実施しました。調査対象国(37カ国):アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、チリ、中国、コロンビア、デンマーク、フランス、ドイツ、イギリス、香港、ハンガリー、インド、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ペルー、ポーランド、ルーマニア、ロシア、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、タイ、トルコ、アメリカ、モンテネグロ*、セルビア*
(*)オンラインと対面で調査を実施

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