男性への育児給付の増加で職場での男女平等は加速するか

女性は依然として、職場では給与格差、家庭においては家事負担の格差を経験しています。男性が今までよりも家庭に貢献できるよう、雇用主の支援が必要な理由とは?

男性への育児給付の増加で職場での男女平等は加速するか

アメリカでは現在、フェミニスト行動主義と変化の新時代の真っただ中にあります。アメリカの女性議員数は史上最多となり、#MeToo運動や#TimesUp運動が巻き起こって、2018年がもう一つの 「女性の年」として宣言されました。とは言うものの、女性は依然として、職場では給与格差、家庭でも不平等 な配分で家事が課せられています。家庭内の責任配分は女性にとってまだ不平等なままであり、この現状を打開することこそが、女性の権利向上を目指すうえで、最も扱いにくく、深刻な課題です。なぜなら、女性がどれだけ職場で躍進できるかは、家庭内の責任の配分比によって左右されるからです。

家庭と職場には、因習的に男女間で異なる役割があります。ひょっとして、このような役割は男性にとっても同じくらい有害なのでしょうか?これに関してイプソスは、Global Institute for Women’s Leadership at King's College London および「国際女性デー」関連組織と共同で調査を実施しました。それによると、男性の過半数は 「男性的」「一家の大黒柱」という伝統的概念の一部を拒絶し始めている ことがわかりました。

「雇用主は、男性が育児と仕事をうまく組み合わせ、両方を遂行しやすい環境を設けるべきだ」と考えるアメリカ人男性は4分の3にのぼっています。そしてそれと同じ割合の人が「家で育児をしている男性は、男らしくない」という記述に「そうは思わない」と回答しています。この調査結果とは裏腹に、女性は給与、職場における昇進・昇級 となると「親業を行う人への罰」を課せられています。

状況を変えたいのは男性も同じ

さらに言うと、男性の多くに、家庭の運営に協力したいという願望があります(検索すれば「僕はベビーシッターじゃない、父さんだ」や、男性用トイレにもおむつ替え台の設置を義務付ける新法についての 記事がたくさん出てきます)。興味深いことに、父親が「子育ては、自身のアイデンティティの中心軸となっている」と言う傾向は、母親と同等に高かったのです。しかし、ピュー研究所(the Pew Research Center)によれば、「自身が子供と過ごす時間は少なすぎる」と感じている男性が数多くいると言います。

サウスサイド・オブ・シカゴ在住で、7歳の娘がいるスコット・スミスさんは次ののように述べます。「女性は長い間、“休暇を申請したら、仕事に専心していないなと思われないだろうか”という職場文化にある難題に悩まされてきましたが、男性もそれと同じ問題に直面するようになっています。“親として子供のそばにいられる時間が増えると、それが自身のワークライフにも影響を与える”という自覚を高めなくてはならないのは、私たち男性です。」

アメリカは、どのようにすれば、女性にとってより平等な未来を築くことができるのでしょうか?まずは、平等な給与でしょう。先述のイプソスの調査結果を見ると、アメリカ人の10人中7人は「雇用主が、同一の仕事に対して男女平等に給与を支給するようになれば、“男女平等“にプラスの影響を与えられる」と考えていることがわかります。また、アメリカ人は、“平等な給与”は、女性が直面している最重要課題の1つと考えています(第1位のセクシャルハラスメントに次ぐ、第2位)。しかしながら、平等な給与と仕事と育児をバランスよく両立することを重要視する傾向は、女性の方が高くなっています。

こういった調査結果を見れば課題がわかるのかもしれません。アメリカにおいては、職場でも家庭でも、男性(と雇用主の)サポートなしに、社会構造全体を変えることはできないと思われます。

文化全体を変える

「調査結果を見ると、女性の社会進出問題に関しては、コミュニティ全体を巻き込むプログラムの方が、女性だけに焦点を当てたプログラムよりも大きな進展がみられる場合が多い」と、Ipsos Global Affairsのシニア・バイス・プレジデントであるMeghann Jonesは述べています。「女性の成功支援は価値ある、そして必要な行動です。しかし、持続可能な”男女平等“を実現するには、文化全体を変える必要があります。女性は家庭内における不平等な負担に対して、職業上でもペナルティを科せられますが、その一方で、男性も家庭生活に十分に参加することができないような職場環境にいることで、ペナルティを科せられているのです。」

さらに、イプソスの調査によって、「男性が“女性の権利をサポートする”ための行動を起こさない限り、女性は平等を得ることはできない」と考えているアメリカ人男女が、大多数(特筆すべきは、男女間で差がないこと)にのぼっていることも明らかになりました。

こういった人々の認識を見ると、“文化を変える”ための行動を起こす機が熟したと言えます。男性と女性のどちらのためにも、女性が職場で最大限の可能性を発揮できるようにする、そして、職場が子育て中の人が過ごしやすい環境となるよう職場文化の変革を促進することです。

世論は「母親の雇用支援にとっては、平等な子育て体制が不可欠であるだけでなく、雇用主が才能ある人材を惹きつけ、その人材を維持するうえでも不可欠」という考えを、ますます支持するようになりました。すなわち、取締役会の男女平等は家庭における男女平等からはじまるのです。

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