世界の幸福度が昨年から6ポイント上昇:73%が「幸せ」と回答
グローバル調査では、幸せの要因を明らかになり、人生の満足度がラテンアメリカで高く評価されている一方で、多くの欧米諸国では低下していることがわかりました。人々は社会とのつながりを求めていますが、多くの人が人間関係の将来に悲観的で、5人に1人が「頼れる人がいない」と回答しています。
イプソスが実施した最新の調査によると、平均で世界32カ国のほぼ4人に3人(73%)が幸福であると回答しています。調査対象国の中で最も幸福な国民の割合が高いのは、中国本土(91%)、サウジアラビア(86%)、オランダ(85%)です。
世界の幸福度は2年連続で上昇しました。一年前より6ポイント、また、新型コロナウイルスが世界中の人々の生活を一変させたわずか数カ月後の2020年8月と比べると10ポイントも上昇しています。しかし、全体的な増加の影には、地域によって大きく異なる傾向が隠れています:ラテンアメリカでは幸せだと自認する人の割合が急上昇している一方で、多くの欧米諸国では急降下しています。前年比でみると、コロンビアとアルゼンチンでは26ポイント上昇し、英国では13ポイント低下しています。
平均で中所得市場(世界銀行による定義)の幸福度は高所得市場よりも顕著に上昇しました。中所得市場の平均幸福度は、イプソスが2011年に調査を開始して以来初めて高所得市場の幸福度を上回りました。
人々は生活のあらゆる側面の中で、子ども、配偶者、親戚、友人、同僚、そして自然との関係性、教育レベルや情報へのアクセスなどの知識関連分野において、最も満足している傾向があります。グローバルの平均では、自国の経済、政治、社会状況、自身の経済状況、恋愛や性生活、身体活動への満足度が最も低い傾向にあります。
しかし、この調査では人々が幸福だと感じるのは、自分の人生が有意義であると満足している場合、自分の人生をコントロールできていると感じている場合、自分が大切にされていると感じている場合、そして精神的、物質的な幸福に満たされている場合であることがわかっています。幸福の要因は性別による違いはほとんどなく、夫婦関係やメンタルヘルス(女性の幸福にとってより重要)、自身の経済状況(男性の幸福にとってより重要)が顕著な例外となっています。
この調査では、多くの人が支援を受けるシステムを欠いていることが明らかになりました。世界的に見ても、友人や親戚に助けを求めることができる人は72%に過ぎず、日本、ブラジル、韓国では3分の2以下、また、一般的に低所得者層でも3分の2以下です。10人に4人が最近つらい出来事を経験したと答えており、Z世代とミレニアル世代、低所得者層、女性でその割合が高くなっています。
さらに、ほぼすべての国で「幸せだ」と回答する人が多い一方で、人間関係の未来については悲観的な見方が広がっています。シングルの人は恋愛対象を見つけることが、カップルは良好な関係を維持することが、そして人々は頼りになる親しい友人関係を築くことが、それぞれ難しくなると回答した人の数は、簡単になると回答した人の2倍にも上ります。悲観的な考えは、特に団塊世代やX世代、低学歴、低所得者、未婚者、そして一般的に高所得市場の市民に顕著に表れています。
詳細な調査結果
最も幸せなのはどこの、どんな人なのか?
調査対象となった32市場の平均で、73%の人が「とても幸せ」「どちらかといえば幸せ」と回答しています。その中で、サウジアラビア(86%)、オランダ(85%)、インド(84%)、ブラジル(83%)の回答者が最も幸福度が高く、ハンガリー(50%)、韓国(57%)、ポーランド(58%)の回答者は最も低いという結果になりました。米国は中位に位置しており、76%の米国人回答者が「とても幸せ」「どちらかといえば幸せ」と回答しています。
今年の世界の幸福度の上昇を牽引したのはラテンアメリカ諸国であり、コロンビア(+26ポイント)、アルゼンチン(+26ポイント)、ブラジル(+20ポイント)、ペルー(+18ポイント)など、多くの国が前年比で顕著な上昇を見せています。逆に多くの欧米諸国では、幸福度が前年比で減少しています:英国(-13ポイント)。英国(-13ポイント)、ポーランド(-7ポイント)、カナダ(-6ポイント)、ベルギー(-5ポイント)、ドイツ(-5ポイント)、そして以前幸福度の高かったオーストラリア(-5ポイント)です。
人々が満足しているものは何か?
世界的に見ると、友人や家族との関係に最も満足していると回答する人が多く、自国の経済や政治状況に満足していると回答する人はかなり少ないようです。
人生にまつわる30項目のうち、最も満足度の高い上位6項目のうち5項目が「人間関係」に関わるものでした。
- 自分の子供(親の場合)(85%)
- パートナー/配偶者との関係 (84%)
- 自然とのふれあい (80%)
- 教育レベル (80%)
- 親族との関係 (78%)
- 友人 (78%)
最も満足度が低いのは以下の5つの項目です。
- 自国の社会、政治状況 (40%)
- 自国の経済状況 (40%)
- 自身の経済状況 (57%)
- 恋愛、性生活 (63%)
- 運動、身体活動 (65%)
回答者が満足している分野は、その国の経済発展の度合いによって異なる傾向があります。生活の他の側面と比較して、高所得市場の市民は、中所得市場の市民よりも、個人の安全や安心、所有物や生活環境に満足している傾向があります。また、中所得市場の市民は、より豊かな国の市民よりも、宗教生活、身体的健康、容姿に満足している傾向があります。
人を幸せにするものは何か?
イプソスは全回答者の全体的な幸福度と、人生にまつわる30項目の満足度との関係を調査しました。この分析により、この30項目が全体的な幸福度に与える相対的な影響についてランク付けすることができました。その結果、幸福度に影響を与える上位5項目は、「自分の人生に意味があると感じること」「自分の人生をコントロールできると感じること」「メンタルヘルスとウェルビーイング」「社会生活」「生活環境」の順であることが明らかになりました。
30項目の中で、子供に対する満足度が幸福度に最も影響を及ぼしていないのは、多くの親が自分の人生において他のことに不満があっても子供に満足していることを反映しています。
困難な状況と支援のネットワーク
過去一年間に悲惨な出来事を経験した人が多く、家族や友人は最も一般的な幸せの源であるにもかかわらず、成人の5人に1人は困難な状況下で頼れる友人や家族などのサポート体制がないことが分かっています。
グローバルの平均で72%が困ったときに頼れる友人や親族がいると回答しています。一方、頼れる友人や親族がいないと答えた人は21%でした(残りの7%は回答しないを選択)。
- 日本(54%)、ブラジル(58%)、韓国(61%)の回答者は、このようなの支援のネットワークがあると答える人が最も少ないのに対し、オランダ(82%)、インドネシア(79%)、ポルトガル(79%)の回答者は支援のネットワークがあると答える人が最も多い。
- 低所得者、低学歴、未婚、Z世代は、高所得者、高学歴、既婚、年配の回答者に比べて、それぞれ支援ネットワークがあると回答する割合が低い。
世界では、支援のネットワークを利用できない人が驚くほど多いにもかかわらず、多くの人が、支援ネットワークがあればもっと簡単に解決できたかもしれない苦難の出来事を経験していると報告しています。グローバルの平均で39%が、最近、自分の人生を良く思えないような不快な出来事や苦痛を伴う出来事を経験したと回答し、37%が、現在または最近、自分では解決できない困難な状況に直面していると回答しています。
- Z世代、ミレニアル世代、低所得者層の回答者は、高齢者や富裕層の回答者に比べて、最近苦境に立たされたことがあると回答する割合がはるかに高い。
多くの人が、友人関係の構築や恋愛に対して悲観的である
この調査結果は、友人や家族の重要性が、人々の生活の満足度を高める大きな要因であることを強調しています。しかし、多くの人がこれらの関係を欠いているのと同様に、多くの人がこれらの関係を見つけること、維持することが難しくなると感じています。
独身の人がパートナーを見つけることについて「より難しくなる」と回答した人は、「簡単になる」と回答した人のおよそ2倍(43% vs. 22%)、親しい友人を見つけることについて「難しくなる」と回答した人が「簡単になる」と回答した人のおよそ2倍(43% vs. 23%)、夫婦が幸せな関係を維持するのは「難しくなる」と回答した人が「簡単になる」と回答した人のおよそ2倍(43% vs. 21%)です。この悲観的な考えは、団塊世代とX世代の回答者、女性、未婚、低所得、無職の回答者に顕著に表れています。
幸福度の指標としての消費者信頼感
本調査のもう一つの重要な調査結果は、国レベルでは、幸福度のレベルが消費者マインドのレベルを反映する傾向があるということです。イプソスは、幸福な成人の割合とイプソスの消費者信頼感指数を同じ調査で測定した22カ国で比較したところ、両者には高い相関性があることがわかりました。消費者信頼感指数は、経済状況、購入や投資の能力、地域経済、雇用の安定、将来の機会に関する認識について、人々の心理状態を調査します。
本調査について
これは、2022年12月22~2023年1月6日に、米国、カナダ、マレーシア、南アフリカ、トルコの18~74歳、タイの20~74歳、インドネシアとシンガポールの21~74歳、その他24か国の16~74歳の成人22,508人を対象に、イプソスのグローバルアドバイザー オンライン調査プラットフォームで実施した32市場の調査の結果です。