Data Dive:母性は世界でどのように捉えられているか?

母親になるということは、つまり大変なことです。
しかし、母親という仕事は無給であり、あまり感謝されることはありません。ところが毎年ある日が来ると、世界中の子供たちやパートナーが母親たちに手作りのカードや花を贈ったり、小さな子供たちからよかれと思って(焦がしてしまうことも多いですが)ブランチをごちそうされたりします。
春、世界中の人々が母の日を迎えますが、私たちは毎年恒例の母の日のセンチメンタルな側面だけでなく、母性に対する考え方がどのように進化してきたのか、あるいは進化してこなかったのかを考えてみたいと思います。
- 変われば変わるほど、変わらないものがある
長い間、女性にとって母親や妻になることが唯一の人生の道と考えられてきました。しかし、60年代から70年代にかけて、世界中の多くの女性がキッチンから飛び出し、キャンパスや会議室、グローバルな舞台でリーダーシップを発揮するようになりました。
ここ数十年の進歩にもかかわらず、女性の社会における主な役割は良い母親や妻になることだと考えている人は、少数派ではあるが依然として存在します(50市場の平均で41%)。 - 対価を支払う
家に留まり子育てをする母親もいれば、外に出てお金を稼ぎたい、あるいはその必要に迫られる母親もいます。
働く母親は、よく「どうやって両立させているのか?」と尋ねられるし、働く父親よりも厳しく評価されているのではと感じることもあるでしょう。昨年行われたイプソスの調査によると、それらの感覚には真実味があるようです。3人に1人以上(30カ国の平均で35%)が、業務中に育児に関する問題が発生することは女性のキャリアを損なう可能性が高いという意見に同意し、男性のキャリアについて同じことを答えた人は9%でした。また同じような割合(33%)の人が、仕事中に突然起こる育児に関する問題は男女どちらのキャリアも損なわないと答え、残りの23%は男女どちらのキャリアにも同じように影響すると回答しました。
- 立場の逆転
最近、批判にさらされるのは働く母親だけではありません。
先進国の家庭は、あえてシグルマザーになることを選択したり、父親が2人いる家庭だったりとさまざまな形があり、親は他人の意見ではなく自分たちに合った方法で子育ての方針を決めています。しかし、だからといって専業主夫に対し厳しい意見がないわけではありません。
実際、「家にいて子どもの世話をする男性は男らしくない」と考える人の割合は、2019年の18%から2023年の24%へと、グローバルの平均で6ポイント上昇しました。 - 選ぶ権利
進歩は明らかに一直線ではありません。ベビーブーマーや 年配のX世代は、ピルから中絶法の緩和まで、一部の国で女性が母親になるかどうか、そしていつなるかという事を自由に選択出来る時代に成人しました。そのため、27カ国の平均で50~74歳のほぼ3人に2人が、あらゆるケースで中絶を支持していることは驚くことではありません。
それよりも驚くべきことは、50歳以下(Z世代、ミレニアル世代、若いX世代)は両親や祖父母よりもずっとリベラルであるようにメディアに描かれることが多いのですが、実は50代以上の人よりも、中絶に対する支持率がわずかに低くなっています。 - イメージと現実の違い
広告、ポップカルチャー、そしてソーシャルメディアには、美しく輝く母親がゴージャスで輝く子供たちを溺愛する巧妙なイメージが溢れています。
疲弊した母親なら理解できるだろうが、現実はもう少し複雑だ。
イプソスのグローバルアドバイザーによる最近の調査では、親である女性(32カ国の平均で85%)、男性(84%)ともに大多数が自分の子供に満足していることが明らかになりました。
しかし、「子供への満足度」は、30 の主要な幸福度要因のリストで最下位となり、他の要因(自分の人生をコントロールできている、自分の人生に意味があると感じる)などの方が、報告された幸福度と強い関連性があることがわかった。